May 15, 2025 column

「何かを言わずにいられない」と女性たちが語り合った ! デミ・ムーアが覚悟を決めて臨んだ衝撃作 映画『サブスタンス』

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ジャンルを絞れない映画なのに共感性がある不思議

石橋 一番共感したのは、デートに出かけようとしているのに、若い彼女の写真を見ては鏡に戻って化粧を直してしまい、なかなか出かけられないシーン。年々メイクにかける時間が長くなって、必死で毛穴やシミ、シワを隠そうとしている自分と重なって苦笑しました。

関口 私も ! 顔を洗った後などにふと鏡で自分を見て驚くことがあります。老けたなーと(笑) 。頭の中は30代くらいから変わっていないので、自分で認識している自分と、現実のギャップになおさら驚くのかも。エリザベスの気持ち、分かります。

町田 ここまでやるか !? の先の先の先まで行くので驚愕の連続でしたが、エリザベスの傷口にスーが何度も注射針を指すところは、体がうずいてつらかった‥‥。デニス・クエイド演じるギラギラしたプロデューサーが、大量のエビの殻を向いて、くちゃくちゃ食べている口元のアップは、大画面映写禁止レベルでしたが、メッセージとしてはとても効果的でしたね。

関口 デニス・クエイドといえば、『ライトスタッフ』や『ワイアット・アープ』『エデンより彼方に』ですが、実生活では39歳年下のパートナーと何回目かの再婚をしたり、過去にドラッグ使用の噂があったり‥‥。彼も人の醜いところを凝縮させた、リスキーかもしれないプロデューサー役をよく引き受けたなと思いました。

金田 石橋さんや関口さんが「エリザベスを自分と重ねて見た」と言うのを聞いて、やっぱり感じ方は人それぞれだな、面白いな、と思いました。私は「二人があの状態のとき、内臓はどうなってるんだろう」とか、「そんな大量の血、どこから出てきたんだろう」とか、しょーもないことばかり考えてました(笑)。後半、話がどんどんとんでもない方へ転がって行って、一体どうやって決着をつけるんだろうと思ったら‥‥あんなに美しくストーリーがまとまるとは思わなかった。

石橋 美しく(笑)? ! たしかに、エンディングがどうなるのか想像つかなかったですけど、カタルシスはありましたね。

金田 映像はグロいけど、物語の展開としては美しく、ちゃんと円が完成する。アカデミー賞脚本賞候補になったのもわかります。

関口 コラリー・ファルジャは、脚本の構成も、映像的な理解のさせ方もうまいですよね。エリザベスが着ると不安をかき立て、スーが着るとポップに見える黄色いコートの使い方や、“薬”を受け取るロッカーの入口のシャッターがお茶室のにじり口みたいに下半分しか開かないとか、いろいろ意味深です。

石橋 IDが番号のみ、とかもそうですね。