May 15, 2025 column

「何かを言わずにいられない」と女性たちが語り合った ! デミ・ムーアが覚悟を決めて臨んだ衝撃作 映画『サブスタンス』

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観る人によって響くポイントが違う一つのジャンルに括れない奥深さ

関口 いま話してるスレの名前は “The Substance” だもんね。観ていた劇場のお客さんの反応はどうでした?LAでの公開後の反応や評価で興味深く思ったことはありましたか?

町田 観たのが公開後しばらく経った平日の日中だったので、LAの劇場にそれほど観客はいなかった気がしますが、周りの気配に気づかないほど没頭していたのかも。一緒に鑑賞した石橋さんとは即カフェに行き、感想を打ち明け合い、頭と心を整理。一人で観て帰宅することなど、できっこない映画でした。公開後もアワードに向けたキャンペーンや作品アイコンなど複数パターンのビジュアルが、街中や配信プラットフォーム、いたるところに押し出されていたのが興味深かったです。目玉焼きが2つ並ぶ象徴的なイメージや、キラキラのスー (マーガレット・クアリー) のアップ、崩れたメイクで鏡を睨むエリザベス (デミ・ムーア) 、バスルームに横たわるつぎはぎだらけの背中‥‥。たぶん観る人によって響くポイントが違うことを意識していて、一つのジャンルに括れない作品の奥深さを象徴しているようでした。

関口 実際にロードサイドに貼られたデミやマーガレットら『サブスタンス』のキャンペーンポスターと、エリザベスの部屋から見えるビルボードやスタジオの廊下に掲出された劇中のポスターがリンクして、リアルとフィクションがない交ぜになる感覚‥‥。そんなところも、この映画にそこはかとない恐怖をもたらすんでしょうね。

石橋 私たち以外は男性客だったかも。途中から町田さんと私は大声でゲラゲラ笑っていましたが、他の観客がシーンとしていて、「あれ? ちょっと浮いてるかな」と思いました。観た後で映画関係者の男性に、「すごく良かったですよー」と勧めたところ、他のハリウッドの映画関係者からも良い評判を聞いていたそうで、案外男性も注目しているんだなと思いました。もしかすると玄人(映画関係者)限定かもしれませんので、一般的な男性がこの映画をどう受け取るのかは分かりません。

金田 観たのが公開された週末のザ・グローブ (LAの繁華街) のシネコンだったので、ほぼ満席でした。往年の人気女優が若さを取り戻すために怪しい薬に手を出して正気を失っていく、という概要を聞いて、最初は『サンセット大通り』や『ブラック・スワン』のようなサイコサスペンスを想像していたんです。

関口 私もそう思っていました。デミ・ムーアが賞狙いで選んだサイコサスペンスなのかなって。もちろんその要素もあると思うんですけど、それだけじゃない!

金田 でもだんだん描写がグロくなり、スプラッター・ホラーになっていって、痛そうなシーンでは隣の席のお兄さんがいちいち「ひっ」と全身で反応していたのが面白かった。しまいにはTシャツの襟を引っ張って顔を覆ってました(笑) 。終盤はグロさが突き抜けて、場内はもう笑うしかないって感じで大爆笑になりましたけど。