描かれる男女の社会的格差、GG賞授賞式での名スピーチ
再びグレン・クローズの話に戻るが、『天才作家の妻 -40年目の真実-』の脚本家であるジェーン・アンダーソンは「主人公のジェーンはとても控えめで、エレガントかつ内気な女性で、立派に夫を立てている。作品に必要なあらゆる本質や裏の意味をこめられるのは、グレンのようにエレガントでもの凄く頭が切れる女優しかいない」と語っている。現在71歳のグレンは本作で第76回ゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を受賞し、第91回アカデミー賞主演女優賞の有力候補と言われている。
本作で男女の社会的格差についても描かれていることに対して、彼女は「今の時代も私たちはこういった問題と対峙し続けなければいけないけれど、いつの時代も難しい問題よね。皆が平等で格差がなくなるのが望ましいけれど」とコメントしており、ゴールデングローブ賞授賞式では涙を流しながら「夫や子供たち、パートナーに恵まれたとしても、自分自身が満足できることを見つけて夢を追いかけるべきです。そして私たちは、それが出来る、その権利があると言うべきなのです」と女性たちに呼びかけるスピーチをして、レディー・ガガら来場者の女性たちから拍手を浴び、スタンディングオベーションで称えられていた。自身の考えをしっかりと世界に発信する力を持つ彼女が『天才作家の妻 -40年目の真実-』を通して何を伝えたかったのか、是非スクリーンで確認して頂きたい。
文/奥村百恵
『天才作家の妻 -40年目の真実-』
現代文学の巨匠ジョゼフと妻ジョーンのもとに、ノーベル文学賞受賞の吉報が届く。二人は授賞式が行われるストックホルムを訪れるが、ジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者ナサニエルから夫婦の“秘密”について問われたジョーンは動揺を隠せない。実は若い頃から文才に恵まれていたジョーンは、作家になる夢を諦めた過去があった。そして結婚後、ジョーンはジョゼフの“影”として成功を支えてきたのだ。ずっと心の奥底に押しとどめていた夫への不満や怒りがジョーンの中でわき起こり、夫婦の関係は崩壊へと向かう。そして授賞式当日、彼女はこれまで通り慎ましく完璧な“天才作家の妻”を装うのか。それとも本当の人生を取り戻すために、衝撃的な“真実”を世に知らしめるのか…。
監督:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレーター
配給:松竹
公開中
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公式サイト:http://ten-tsuma.jp
『恋愛小説家』
Blu-ray:2381円(税抜) DVD:1410円(税抜)
発売中
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』
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配給:ファントム・フィルム
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