NHK大河ドラマ『西郷どん』(日曜・夜8時)の新キャスト発表取材会が13日、革命編の撮影まっただなか(9月2日放送第33回分)のスタジオで行われた。
西郷家がいっそう貧乏になって借家で暮らしているというセットの前での取材会に出席した俳優たちは、主人公・西郷吉之助(隆盛)役の鈴木亮平、その3番目の妻となる糸役・黒木華、幕末のヒーロー坂本龍馬役・小栗旬のほか、西郷の弟・吉二郎の妻・園役で、大河初出演のAKB48の柏木由紀、龍馬の妻・お龍役を演じる水川あさみ、佐賀藩士の江藤新平役で、ドラマの薩摩ことば指導を担当してきた迫田孝也、薩摩藩士の中原尚雄役は、同じく薩摩ことば指導を担当してきた田上晃吉。
柏木は「私の出身地でもある鹿児島ゆかりの西郷さんの物語に出演できることを幸せに思っています。1歩2歩下がって夫を支える、そんな女性を意識しながら、明るく西郷家を支えていきたい」と“さつまおごじょ”を演じる気構えを語った。
田上は「大河ドラマは甲子園のようなもの」と涙を流して出演を喜び、他の出演者たちに温かい眼差しを向けられていた。
薩摩の下級武士として生まれ、激動の時代のなかで、国を良くしていくことをひたすら考えている西郷吉之助(西郷隆盛)が、尊敬する島津斉彬を亡くし島流しに合い、愛加那という妻と出会って子供をつくり人間的成長を遂げた末、薩摩に戻って来てこれからいよいよ活躍していくことになる。
それを鈴木は「島から戻って来てからが怒涛で、禁門の変に長州征伐を経て一瞬にして薩摩のヒーローになる。一気に開花していくエネルギッシュな話になる。龍馬(小栗)は、海上がりのサーファーみたいで、とにかくみんな色っぽい。玉山鉄二さんの桂小五郎、遠藤憲一さんの勝海舟もみんな色気がむんむん。色気が充満しているスタジオになっています」とやる気をみなぎらせた。
小栗は鈴木亮平とは深い縁があり、映画『シュアリー・サムデイ』では監督(小栗)と俳優(鈴木)の関係であり、『HK 変態仮面』は小栗が鈴木を主演にと提案したものだ。
「一緒に芝居するのは10年ぶりくらい。一年以上前から役に向き合っている彼(鈴木)にはひじょうに大きな存在感を感じる。西郷にとって龍馬は、考え方が変わったり、背負わなければならないものになったり、そういった形で残っていったらいいなと思っています」と言い、坂本龍馬については「商売がしたいという気持ちが、より色濃く描かれているので、冒険家みたいな人になればいいなと思って演じています」と意気込みを語った。
男たちが熱いその一方で、「いつもと変わらない顔を見せられる場所が西郷家。糸と結婚するが、(島での妻だった)愛加那とはちがうしっとりした愛情が育っていくさまを見て楽しんでほしい」と言う鈴木。革命に勤しむ顔と、家庭で安らぐ顔のふたつが見られるようだ。
黒木華は「初恋の人と結ばれることがうれしい」「愛加那とは形は違えど愛しぬく、家に帰ってきて安心できるように家を守ることをやってます」としとやかかつたくましい発言をしていた。
吉之助の第三の妻・糸と弟の妻・園、ふたりは夫のあとを2歩3歩下がって支えていく従来の理想的な妻像を演じるが、まったく違うのが水川あさみ演じるお龍だ。
「夫・龍馬とつねにいっしょに行動し思ったことを言う、従来の夫婦の形とちがうとこが面白いのかなと思う。死ぬまで愛し尽くすところが、竜馬の支えになるといいと思って演じています」と語った。
竜馬とお龍は日本で最初に新婚旅行をした夫婦で、そのことにも触れられるとか。中園の描く強い女性・お龍が魅力的だと制作統括の櫻井賢。
これまでも、幕末の志士たちを女性たちが支える物語が手厚く描かれていた『西郷どん』だが、これから明治維新に向けてヘヴィな展開になることが予想に難くないが、そんなときでも女性たちが活躍しそうだ。
このほか、龍馬とともに活躍した土佐藩士・中岡慎太郎役を山口翔悟、初代内閣総理大臣となる伊藤俊輔(伊藤博文)役を浜野謙太、大村益次郎役を林家正蔵が演じる(いずれも大河初出演)。
また、ドラマ『JINー仁—』や舞台『江戸は燃えているか』で西郷隆盛を演じていた藤本隆宏が山岡鉄舟役で参加することも興味深い。とりわけ三谷幸喜の『江戸は燃えているか』は勝海舟と西郷隆盛の江戸城無血開城のための会談の話だったため、そのやりとりを演じた藤本が今度は会談に先立って西郷と対面する役とは面白い。
『西郷どん』はNHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。
7月8日は2度目の特番が放送されるという。前回の特番とはまた少し形を変えた歴史エンターテイメントになる予定と櫻井Pは語った。