年末・年始に楽しんでもらいたい劇場公開作品、動画配信サービスで観られるおすすめ作品をご紹介。
今回取りあげるのは、一癖も二癖もあるホラーとコメディ。ひとつは、双子Youtuberが撮ったコックリさん的な遊び、ひとつは、北緯38度線を超えて北と南が協力する話、どっかで聞いたことがあるけど、これまでとは全く違う映画2本。さて、あなたはどちらがお好みですか?
01. 編集部が選ぶ2023年末オススメ劇場公開映画
『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』( 公開中 )
Z世代は降霊術でハイになる! 色眼鏡をぶち壊す真摯なホラー
コックリさん、エンジェル様、呼び名は数あれど霊的なものと接触する、いわゆる降霊術に新たな1ページが刻まれた。
ホームパーティーで酒と薬をキメていた時代は今は昔、ナウなヤングは降霊術でハイになる!
主人公ミアは、母親の“事故死”以来、父親ともぎくしゃくし、家に居場所がなく孤独を感じる女子高生。それ故、誰かとの繋がりを必死に求める彼女は友人たちと、不気味な手のオブジェを握り「Talk to me」と囁く話題の降霊術を試してみることに――。
怖いことしてみたら、怪奇現象に悩まされてさあ大変!という親の顔より見たプロットだが、非常に楽しい映画だった。監督が新世代の人気双子Youtuberという一瞬色眼鏡で見たくなるようなガワだが、実に真摯なホラー作品になっている。
迫りくる怪奇現象、友人たちからも理解されず、ミアは霊との接触に救いを求めていく。孤独から救われたいがために更なる孤独へと追いやられる姿は、本作のテーマのひとつだろうか。
恐怖から逃れようとするミア、そこに母親の喪失と再起といったエッセンスも加わり、なるほどね、と安心して観ていられるのも束の間、そう一筋縄ではいかないのがこの作品。
ミアが迫りくるものにどう挑むのか(プロットからもわかるが、いやそっちじゃないだろーという方ばかりへ行くホラーの定石もしっかり押さえている)、そして打ちのめされるようなラストは是非その目でご覧いただきたい。
A24が配給するのも納得の作品。『シャイニング』や『ヘレディタリー/継承』などがお好きな方はハマること間違いなし。
監督:ダニー&マイケル・フィリッポウ
出演:ソフィー・ワイルド, アレクサンドラ・ジェンセン, ジョー・バード
配給:ギャガ
© 2022 Talk To Me Holdings Pty Ltd, Adelaide Film Festival, Screen Australia
公開中
公式サイト talktome
02. 編集部が選ぶ2023年末オススメ劇場公開映画
『宝くじの不時着 1等当選くじが飛んでいきました』
“愛”の次は”金”が国境を越える!? 大ヒットドラマをパロディに
舞台は韓国と北朝鮮の緊張感漂う軍事境界線。ここをパラグライダー中に竜巻に巻き込まれて越境したのが、2019年Netflix独占配信で話題となった「愛の不時着」だ。
本作は、韓国兵が偶然手にした6億円の大当たりの宝くじが風のいたずらで、38度線を南から北へ飛んで行き北朝鮮兵が入手したことから始まるドタバタ喜劇。
南北ともに宝くじの権利を主張するが、北朝鮮側は拾ったのはいいものの換金する手段がなく、韓国に頼らざるを得ない。かと言って宝くじを預けたら最後、戻って来なければそれでお終い。
そこで韓国側が換金してお金を持ってくるまで、お互いの兵士を人質として入れ替える無茶なアイディアを実行する。果たして人質兵士は無事戻って来れるのか、6億円は手に出来るのか‥‥。
ということで待望の「不時着」シリーズ第2弾!というわけではなく、本作は韓国発の爆笑ムービーです!
上方落語の故・桂枝雀が提唱した「緊張の緩和」という笑いの理論。まさにこの映画は、人は緊張状態から緩和されると笑いが生じるというシンプルなこの法則に則っている。
南北間の緊迫、南北で入れ替わった兵士が敵対国にバレないか、大当たりの大金を手に入れられるか。そういった緊張状態に両国の兵士が知恵を絞ってクソ真面目に任務を遂行していく。その面白さが「緊張の緩和」そのものである。
お正月唯一のコメディ映画! 難しいことを何一つ考えず劇場に足を運べば今年は最高の年になります! 知らんけど。
監督:パク・ギュテ
出演:コ・ギョンピョ、イ・イギョン、ウム・ムンソク、パク・セワン、クァク・ドンヨン
字幕監修:松尾スズキ
配給:ツイン
© 2022 HOME CHOICE CORPORATION,SIDUS CORPORATION,TPS COMPANY ALL RIGHTS RESERVED
2023年12月29日(金) 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
公式サイト takarakujimovie