ホラー出身、ノルウェー出身女優たちの活躍
惜しくも賞を逃した日本映画代表の『国宝』と接戦となった『フランケンシュタイン』もまた、サイコホラーの要素が強かった映画。『フランケンシュタイン』は作品賞を含め、9部門ノミネートされ、メイクアップ&ヘア賞、衣装デザイン賞、プロダクションデザイン賞と3部門を受賞。


ヒロイン役で、花びらを散らしたような白レースのドレスを着てアカデミー賞に出席した女優ミア・ゴスはノミネートはされなかったが、存在感は抜群。『X』『パール』『マキシーン』出演後、ギレルモ・デル・トロ監督に見染められての『フランケンシュタイン』の演技。次回は『ブレイド』そして、クリストファー・ノーラン監督の『オデュッセイア』と着実に演技の幅を広げているホラー出身女優といえる。


メイクアップ&ヘア賞の部門から高い評価を受けてノミネートされていたのが、今年1月に日本でも公開された映画『アグリーシスター 可愛いあの娘は醜いわたし』。この作品はノルウェー・デンマーク・ポーランド、そしてスウェーデンの合作で、ノルウェーの新鋭監督エミリア・ブリックフェルトの長編デビュー作。物語は童話「シンデレラ」をモチーフに、舞台を架空の王国に置き換え、王子のハートを掴むために、継母が、自らの平凡な娘の顔を整形するために奔走。手段を選ばない整形手術の悪夢に娘を変貌させていくというボディー・ホラー。主人公の俳優レア・マイレンはノルウェーのモデル出身で、次世代を代表する女優として、今後が楽しみな女優。
国際長編映画賞を受賞した映画『センチメンタル・バリュー』の評価はアカデミー賞前哨戦でも人気だった。『フランケンシュタイン』と同じく、作品賞を含めた9部門のノミネートはインターナショナルな国際長編映画作品で過去になかった快挙だったといえる。


助演男優賞にノミネートされていたステラン・スカルスガルドは映画『ドラゴン・タトゥーの女』(2011) からテレビドラマ「キャシアン・アンドー」(2022~) 、そして『DUNE / デューン』(2021~) の恐ろしいバロン・ハルコンネンまで、さまざまな役に挑む人気俳優。女優賞にノミネートされていたノルウェー人女優レナータ・レインヴェの人気も絶好調。長身で存在感のあるレナータは半分左足を見せつけるハイスリットの赤いルイ・ヴィトンのドレスで堂々登場。彼女の存在感を際立たせる演出は、同ヨアキム・トリアー監督の『わたしは最悪。』からも明らか。今回は姉妹役のノルウェイ出身女優インガ・イブスドッテル・リレアス、米人気女優エル・ファニングとの共演で、その気品のある魅力に、観客を魅了した演技。映画『センチメンタル・バリュー』はブラジルの「シークレット・エージェント』と接戦だったが、家族の仲違い、姉妹愛、映画や芝居の中の俳優の業を問う奥深い台詞が、傷口を癒していくかのような際立った映画だった。

余談だが、主演のベテラン男優ステラン・スカルスガルドは8人子供がいて、最初の妻との間に生まれた6人のうち、3人が広く知られた俳優たちとして活躍している。三男のビル・スカルスガルドもホラー映画出身と言っても過言ではないほど、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017~) シリーズや『ノスフェラトゥ』(2024) のオルロック伯爵役などカリスマあふれる俳優。ガス・ヴァン・サント監督の新作スリラー『デッドマンズ・ワイヤー 』(2025) でも、見事な主演を演じていた。主演女優賞を受賞した映画『ハムネット』のジェシー・バックリーは現在、米公開中のワイルドなパンク、ホラー/フェミニストな映画『ザ・ブライド!』にも出演。ジャンルを超えた俳優たちの飛躍が大注目されたオスカーの結果だった。

文 / 宮国訪香子

双子の兄弟スモークとスタックは、一攫千金の夢を賭けて、当時禁じられていた酒や音楽をふるまうダンスホールを計画する。オープン初日の夜、多くが宴に熱狂する中、招かざる者たちの来客で事態は一変。歓喜は絶望にのみ込まれ、人知を超 えた者たちの狂乱が幕を開ける。果たして、夜明けまで生き残ることが出来るのか‥‥。
監督・脚本・製作:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、ヘイリー・スタインフェルド、マイルズ・ケイトン、ジャック・オコンネル、ウンミ・モサク、ジェイミー・ローソン、オマー・ベンソン・ミラー、デルロイ・リンドー
配給:ワーナー・ブラザース映画
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これは、ある町で起きた本当の話。多くの人が命を落とした秘密の話。深夜2時17分、子どもたち17人が同時に姿を消した。消息を絶ったのは、ある学校の教室の生徒たちだけ。疑いをかけられた担任教師ガンディは、集団失踪事件の真相に迫ろうとするが、この日を境に不可解な事件が多発、やがて町全体が狂い出していく。
監督・脚本・製作:ザック・クレッガー
出演:ジョシュ・ブローリン、ジュリア・ガーナー、オールデン・エアエンライク、オースティン・エイブラムズ、ケイリー・クリストファー、ベネディクト・ウォン、エイミー・マディガン
配給:ワーナー・ブラザース映画
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天才だが傲慢な科学者ヴィクター・フランケンシュタインが禁断の実験によって生み出したのは怪物だった。やがて、ヴィクターと悲劇を背負った怪物は破滅への道をたどることに‥‥。
監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:オスカー・アイザック、ジェイコブ・エロルディ、ミア・ゴス、フェリックス・カメラー、チャールズ・ダンス、クリストフ・ヴァルツ

冴えない革命家のボブのひとり娘が何者かに狙われ、次から次へと迫る刺客たちとの戦いを描く怒濤のチェイス・エンターテインメント。
監督・脚本:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ、レジーナ・ホール、テヤナ・テイラー、チェイス・インフィニティ、ウッド・ハリス、アラナ・ヘイム
配給:ワーナー・ブラザース映画
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オスロで俳優として活躍するノーラと、家庭を選び息子と穏やかに暮らす妹アグネス。そこへ幼い頃に家族を捨てて以来、長らく音信不通だった映画監督の父・グスタヴが現れる。自身15年ぶりの復帰作となる新作映画の主演を娘に依頼するためだった。怒りと失望をいまだ抱えるノーラは、その申し出をきっぱりと拒絶する。ほどなくして、代役にはアメリカの人気若手スター、レイチェルが抜擢。さらに撮影場所がかつて家族で暮らしていた思い出の実家であることを知り、ノーラの心に再び抑えきれない感情が芽生えていく。
監督:ヨアキム・トリアー
出演:レナーテ・レインスヴェ、ステラン・スカルスガルド、インガ・イブスドッテル・リッレオース、エル・ファニング
配給:NOROSHI ギャガ
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2026年2月20日(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
公式サイト sentvalue_NOROSHI