Mar 17, 2026 column

アカデミー賞受賞結果からみる ホラー映画主演俳優たちの可能性 (vol.85)

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最も多くノミネートされていたのは、サバイバルホラー映画『罪人たち』

『罪人たち』は、ホラー映画史上最高評価を得て、興行的にも大成功、世界興収$370ミリオンドルに達した。そのほかの作品賞ノミネート作品と比べると『F1』の次となる。アカデミー賞のノミネート数は最多16と、去年、全米で最も注目された特異な映画といっても過言ではない。

サバイバルホラーの舞台は1930年代のアメリカ南部。双子の黒人兄弟スモークとスタックは故郷に錦を飾るかのように、夢のダンスホールの運営を夢見て奮闘。そこで出会うのが、天才的な若いギターリストのサミー。彼の音楽、そして当時禁じられていた酒をふるまうダンスホールは、信仰深い南部の人種差別にさらされ、兄弟、その家族と友人たちは、ヴァンパイアが手招く血しぶきの嵐で生き残れるのか。映像に音楽、そしてダンスと今までに見たことのないファンタジーあふれるホラー映画といえる。

Michael B. Jordan / Ryan Coogler ©A.M.P.A.S.®

女性初の撮影賞を受賞したのが、監督ライアン・クーグラー の『ブラック・パンサー:ワカンダ・フォーエバー』(2022) のチームワークでも有名な女性オータム・デュラルド・アルカポウ。主演男優賞は、一人二役の兄弟を演じたマイケル・B・ジョーダン。監督・脚本・製作を勤めたライアン・クーグラーはオリジナル脚本賞を受賞。製作総指揮、そして音楽を担当したルドウィグ・ゴランソンも作曲賞を受賞した。

作品受賞は、同ワーナー・ブラザース映画の『ワンバトル・アフター・アナザー』が受賞。この2作品はよい意味で接戦で、後者はより政治的ながらも、それぞれの役者の演技は見応えがあり、助演男優賞を受賞したショーン・ペンをはじめ、主演のレオナルド・ディカプリオ、若手女優チェイス・インフィニティほかの演技が光るアクション映画。オスカー初のカテゴリーとなるキャスティング賞を受賞したのが、30年間、ポール・トーマス・アンダーソン監督と10作品を手がけたキャスティング・ディレクター、カサンドラ・クルクンディス。監督への敬意はひとしおで、もちろんポール・トーマス・アンダーソンも脚色賞、監督賞、そして作品賞、そのほか編集賞を見事受賞し、6部門を制覇した。

Paul Thomas Anderson ©A.M.P.A.S.®