Mar 11, 2026 column

アカデミー賞長編アニメーション映画 和が薫るベルギー作品『アメリと雨の物語』 (vol.84)

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『崖の上のポニョ』の生命感が博物館で炸裂

ロサンゼルスで、映画の祭典を祝うアカデミー賞のカウントダウンが始まっている中、ハリウッドのお膝元にあるアカデミー博物館では先月14日から来年の1月10日までの期間限定で、スタジオ・ジブリ制作の映画『崖の上のポニョ』(2008) の展示が開催されている。ジブリから寄付された展示内容は、北米初のお披露目となるものも多く、デザインキャンバス、ポスター、ジブリのアニメーターが座るデスクと椅子、オリジナルの宮崎駿監督の手描きデッサンなど100点以上の貴重な制作スタジオ資料が展示されている。

© 2008 Hayao Miyazaki/Studio Ghibli, NDHDMT

キュレーターのジェシカ・ニーベルは、博物館がオープン当時に開催した最初の大きな展示「Hayao Miyazaki」も手掛けたベテラン。インタラクティブなアニメーションデスクでもアニメの世界が体験でき、子供も大人も楽しめる遊び場が提供されている。映画『崖の上のポニョ』は、人間になりたいさかなの子の一途な恋心を描いているようでいながら、荒れ狂う大海原など、自然の脅威が、まるで恋心に溢れて走る人面魚の仕業かのように錯覚させ、2008年当時ではそれほど取り上げられなかった災害への不安を緩和してくれる癒しが見え隠れし、改めてジブリ映画を見直す絶好のチャンスとなっている。この展示の期間中には、『となりのトトロ』『ルパン三世 カリオストロの城』『千と千尋の神隠し』をはじめ、アカデミー賞が終わった3月末から5月までなつかしのジブリ映画特別上映会が予定されており、アカデミー賞長編アニメーション賞を2度 (『千と千尋の神隠し』『君たちはどう生きるか』) 受賞した宮崎駿監督、そしてジブリ作品に改めて、映画ファンが魅了されている。

文 / 宮国訪香子

作品情報
映画『アメリと雨の物語』

1960年代日本—神戸で生まれたベルギー人の小さな女の子アメリ。彼女の成長を描く物語。外交官の家庭に生まれ、2歳半までは無反応状態だったアメリ。その後、子ども時代に突入した彼女は自らを「神」だと信じ、魔法のような世界を生きている。家政婦のニシオさんや家族との日々の生活は、彼女にとって冒険であり、新たな発見の連続。少しずつ変化していく。しかし、3歳の誕生日に人生を変える出来事が起こり、彼女の世界は大きく変わっていく…。誰もが子供時代に夢見た世界を描く感動のアニメーション作品。

監督:マイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン

声の出演(日本語吹替版):永尾柚乃、花澤香菜、早見沙織、森川智之

配給:ファインフィルムズ

© 2025 Maybe Movies, Ikki Films, 2 Minutes, France 3 Cinéma, Puffin Pictures, 22D Music

2026年3月20日(金・祝) TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開

公式サイト littleamelie-movie

宮国訪香子

L.A.在住映画ライター・プロデューサー
TVドキュメンタリー番組制作助手を経て渡米。 ニューヨーク大学大学院シネマ・スタディーズ修士課程卒業後、ロサンゼルスで映画エンタメTV番組制作、米独立系映画製作のコーディネーター、プロデューサー、日米宣伝チームのアドバイザー、現在は北米最大規模のアカデミー賞前哨戦、クリティクス・チョイス・アワードの米放送映画批評家協会会員。趣味は俳句とワインと山登り。