Nov 28, 2025 column

記録やぶりのミュージカル映画 『ウィキッド 永遠の約束』旋風到来 ! (vol.78)

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大ヒットしたブロードウェイのミュージカル劇を映画化した、2部構成のパート1『ウィキッドふたりの魔女』の週末3日間のオープニング興行収入1億1250万8900ドル (約175億円) という記録を超えて、先週末3日間で1億4700万4640ドル (約230億円) を記録したパート2『ウィキッド 永遠の約束』。そのほか英国やオーストラリア、韓国などでも初登場1位となり、78カ国と合わせた世界興収は、前作を上回る2億2304万1640ドル (約350億円) と人気の高さを表している。

エルファバとグリンダという外見も性格も違う2人の魔女の友情が鍵となるこの映画は、クラシック映画の『オズの魔法使』(1939) の物語魔女が化け物扱いされた過去を一変し、アメリカでは自称”Witch”と名をあげる女性たちも含め、大勢がこの映画を支援している。2人の魔女たちの友情と絆の物語がなぜ今、これほど人気なのか、その見どころに迫る。

『オズの魔法使』の魔女のイメージが一新!

パート1の『ウィキッドふたりの魔女』(2024) を軽くおさらいすると、魔法学校のシズ大学に妹ネッサローズ (マリッサ・ボーディ) を見送りに来た姉エルファバ (シンシア・エリヴォ) が、稀な魔力を発揮し、女学長マダム・モリブル (ミシェル・ヨー) に見染められて特別入学。そこで出会ったのが、生徒たちの人気者で、ナルシストな行動が憎めないグリンダ=ガリンダ  (アリアナ・グランデ) 。緑色の肌に生まれたエルファバは生まれたときから父に嫌われ、妹からも、自分の身体に障害があるのは姉のせいだと疎まれていた。グリンダが学長に好かれるために、自らエルファバとルームメートになることを希望。水と油のような2人が生活を共にすることになるのだった。

最初は敵対するものの、次第にお互いの魅力を見出し、親友となるまでの絆を分ち合う。しかし、馬に乗ったプリンス・フィエロ (ジョナサン・ベイリー) が到来し、グリンダと同様にエルファバもフィエロに恋をしてしまう。まさか、フィエロが私を好きになるわけがないと静かに身を引くエルファバ。そうこうしているうちに、天性の魔力を操れることが評価され、エルファバはマダム・モリブルの推薦で偉大な”オズの魔法使い”に会う機会を得る。エルファバに誘われたグリンダは、”オズの魔法使い”に会えるチャンスはまたとないとエメラルド色の列車に飛び乗り旅立つ。しかし、想像していたオズは、生まれ持っての魔法使いというより、想像力のあるトリックの達人だった。