Oct 10, 2025 column

演技派スターによって蘇る 『トロン:アレス』『プレデター:バッドランド』 (vol.75)

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『プレデター・バッドランド』

現在、アメリカの予告編の中で、最も関心が集まっているのが、『プレデター:バッドランド』のスローガン ”Hunt is Back”。 狩るか、狩られるかの壮大なバトルのヒロインは現在最もホットでかわいい女優エル・ファニング。元は『アイ・アム・サム』(2001) のダコタ・ファニングの妹としてデビューしたものの、メキメキとその女優魂を発揮し、現在、あらゆるジャンルの映画に引っ張りだこである。日本では小島秀夫の「DEATH STRANDING2」でお馴染みのゲームキャラを演じるなど、映画にテレビにゲームとマルチに活躍の場も幅広い。

新作『プレデター:バッドランド』の役はなんと、人間と見分けがつかないほど精巧なシンセ (アンドロイド) のティア。悟りを得た少女のような存在で、醜いプレデターとタッグを組む内容は、シュワちゃんこと、アーノルド・シュワルツネッガーが主演した『プレデター』(1987) とは大きく違う。透明人間のような、動物のカモフラージュ技を使って敵を片っ端から攻撃していたプレデター対、屈強な軍人との戦いではなく、プレデターの一族から追放された1匹狼戦士とハンディを背負ったアンドロイドとがチームを組むという斬新な発想。その美女と野獣のような最高のコンビを誕生させたのが、『プレデター:ザ・プレイ』(2022) からプレデターを追い続けてきた監督ダン・トラクテンバーグと脚本家パトリック・アイソン。

近未来の最悪の地バッドランドで、仲間から見放された若いプレデター、デク。しかし、下半身を失ったティアと出会うことで、自らが追うものではなく、追われるものであることを自覚。2人で力を合わせて戦いを挑む相手は、ウェイランド・ユタニ・コーポレーション(Wey-Yu)という巨大組織。それは、ティアというWey-Yuのシンセ(人工知能を搭載した人造人間)を産んだ大元だったのである。ちなみに、このウェイランド・ユタニ社というのが、『エイリアン』シリーズにも出てくる組織の名前なので、最新の配信シリーズ「エイリアン:アース」もSFファンにとっては必見なのである。

エル・ファニングは2025年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされていた『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024) でも大注目。今年は第78回カンヌ国際映画祭コンペで19分のスタンディングオベーションのあと、グランプリを受賞した映画『Sentimental Value (英題) 』にも出演していて、『わたしは最悪。』(2021) のヨアキム・トリアー監督のスウェーデンチームと意気投合した演技の幅は見事。活躍の場がどんどん広がっている注目の女優である。

文 ・(会見)写真 / 宮国訪香子

作品情報
映画『トロン:アレス』

世界で初めて長編映画としてCGを本格導入し、映像エンターテインメントの歴史を変えた映画『トロン』最新作。高度に洗練されたプログラム“アレス”が、ある危険なミッションのために現実世界へと送りこまれる。いまデジタル世界が現実世界を侵食する。

監督:ヨアヒム・ローニング

出演:ジャレッド・レト

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

© 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

2025年10月10日(金) 日米同時公開

公式サイト disney.co.jp/movie/tron-ares

作品情報
映画『プレデター:バッドランド』

プレデターが主人公の完全なる新章。誇り高き戦闘一族から追放され、宇宙一危険な「最悪の地(バッドランド)」に辿り着いた若き戦士・デク。次々と敵に襲われる彼の前に現れたのは、上半身しかないアンドロイド・ティア。「狩り」に協力すると陽気に申し出る彼女には、ある目的があって――。

監督:ダン・トラクテンバーグ

出演:エル・ファニング

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

©2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.

2025年11月7日(金) 全国劇場公開

公式サイト predator-badlands

宮国訪香子

L.A.在住映画ライター・プロデューサー
TVドキュメンタリー番組制作助手を経て渡米。 ニューヨーク大学大学院シネマ・スタディーズ修士課程卒業後、ロサンゼルスで映画エンタメTV番組制作、米独立系映画製作のコーディネーター、プロデューサー、日米宣伝チームのアドバイザー、現在は北米最大規模のアカデミー賞前哨戦、クリティクス・チョイス・アワードの米放送映画批評家協会会員。趣味は俳句とワインと山登り。