MCU再起動を担う俳優たち
つい先日行われたサンディエゴのコミコン前に、過去のマーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) 作品のここ数年の失敗を見直し、新しいフェーズを再起動させる記者会見が極秘に行われ、マーベル通の記者チャーリー・キングがリポートしている。社長ケビン・ファイギが発表した今後2年間で予定されている作品群は、2026年に『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(SPE配給) と『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』、27年に『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』 、28年にタイトル未発表の4本の映画作品と、いくつかのテレビドラマ作品。日米同時公開の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は、マーベル・スタジオが手がける新顔としてMCUデビューになるのだそうだ。
ブランド再起動には、新スターがつきもの。『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』のリーダー格を演じるペドロ・パスカルはハリウッドで引く手数多の存在。現在、米劇場公開中のアリ・アスター監督のA24『Eddington (原題) 』(2025) では、コロナ後のギスギスした町エディントンで、マスクをしない保安官 (ホアキン・フェニックス) と対立していく市長役を演じ、メジャーからインディまで、キャリアは絶好調。テレビシリーズ「マンダロリアン」「THE LAST OF US」で、日本でもすでにファンも定着しているはず。今春はロマンティック・コメディ『Materialists(原題)』の米興行もよく、この新作も含め、話題作3作品の主演を演じているだけでなく、「THE LAST OF US」シーズン2で今年9月に授賞式が行われるエミー賞ドラマ部門の主演男優賞にノミネートされている。

ペドロ・パスカル演じる主人公リード率いるファンタスティック4のメンツは来年の『アベンジャーズ:ドゥームズデイ』再来年の『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』にも登場する。監督は『アベンジャーズ/インフィニティ·ウォー』(2018) 、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019) のルッソ兄弟なので、マーベルファンはこの新作を見逃すわけにはいかない。

リードの妻・スーを演じる女優ヴァネッサ・カービーは『ミッション:インポッシブル』シリーズのセクシーな悪役でお馴染み。Netflixシリーズ「ザ・クラウン」で孤独に苦しむプリンセス・マーガレットを演じるなど演技の幅も広い。今回は母になる役で、インビジブル・ウーマン(透明人間)としてのアクションは今ひとつなのが残念なところ。チーム紅一点のスー役はさまざまな女優が演じてきたが、過去作『ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』(2005) のスー役に抜擢された当時20歳の女優ジェシカ・アルバがファンの一番人気。続編『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』(2007)のアクションもなかなか可愛かったが、近年、Netflixの『トリガー・ウォーニング』(2024) でスタントもこなすほどのアクション女優としてまた、別の境地を迎えているようだ。

前述の過去作でスーの弟、やんちゃなジョニーを演じていたのが、今ではトップスターのクリス・エヴァンス。クリス・エヴァンスは『ファンタスティック・フォー』のジョニー役を卒業し、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(2011) の主人公キャプテンアメリカ役で新マーベル作品のキャラクターとして復活。この作品は、トミー・リー・ジョーンズ、サミュエル・L・ジャクソン、セバスチャン・スタンなど脇が固いエンタメ作品である。新作のスーの弟ジョニー役は『クワイエット・プレイス:DAY 1』(2024)のジョセフ・クイン。怪力男のベンは、ドラマシリーズ「Marvel パニッシャー」(2017~) などのエボン・モス=バクラック。監督は「ワンダヴィジョン」(2021) で成功をおさめたマット・シャックマンと、新しいマーベルの担い手がMCU再起動を支えている。

