ベテランからユニークな新顔の日本人俳優たちが健闘!
この作品のキャスティングを行った奈良橋さんは映画『ラストサムライ』(2003) 『バベル』(2006)から『MINAMATA-ミナマタ-』(2020)まで、日米の俳優間を繋いできた。今年はアイスランド映画でKōkiが出演する『TOUCH(原題)』(2024)のキャスティング・ディレクター兼女優業のプロモーションでもご多忙な様子。東京ーロス間などで飛び回る間にotocotoのインタビューに答えてくれた。
まずは主要キャストから。主人公スージーの夫マサを演じるのが、西島秀俊。彼の名を海外の批評家に知らしめたのが、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』の主演。米批評家からも注目され、作品がアカデミー賞語国際長編映画賞を受賞したあと、アメリカの大手エージェンシーCAAと契約を結んでいる。これが米エージェントとの契約後、初めての作品。ショーランナーで制作総指揮のケイティ・ロビンス、主演女優ラシダ・ジョーンズ、そして監督ルーシー・チェルニアクともロサンゼルスで顔合わせ。ミステリアスな過去を持つスージーの夫マサ役にぴったりだと全員が合意したものの、インターナショナルなエージェント契約やスケジュールほか、いつも以上に、契約に時間がかかったと奈良橋さんは話していた。
日本で撮影された「サニー」全10話では、YOU、國村隼など、馴染みの日本人俳優が数多くキャスティングされた。海外合作の顔となってきているベテラン俳優、國村隼が演じるのは、第1話で夫の訃報のあと、突然、スージーの家を訪ね、マサが開発したロボットを届ける謎の男、田中役。夫はイマテック社の冷蔵庫部門で働いていたはずと困惑するスージー。その部署は12年前にミャンマーに移転したんですと、夫マサの素行の謎を淡々と語る田中。マサがスージーに残した新型家庭用ロボットは心の癒しになるはずだとスージーの拒否も聞き入れずに去っていくのだった。
もう一人、スージーの味方なのか敵なのかミステリアスな存在ながら彼女と親しくなっていくのが、バーテンダーの女ミクシー。夫マサと初めて訪れたというカクテルバーで働くミクシーを演じるのが、日本人女優アニー・ザ・クラムジー。映画『ハリー・ポッター』シリーズに憧れ、英国での演技留学をきっかけに、ウクレレを奏でるシンガー・ソングライター兼YouTuberとしてファン層を確立。どんなことでも歌にするニュージーランド出身の男性コミックバンド「Flight of the Conchords」のような方向性に惹かれ、ネット世代のボーダレスなタレントとして活動の場を広げるアニーは、短編映画で脚本、そして女優を務めたあと、この大役をゲットしたニューフェイスである。