アカデミー賞2部門ノミネートの『ナイアド〜その決意は海を越える〜』
「対岸へ。オーシャンスイム史上最大の挑戦」という史上最長、50時間以上も一睡もせずに、海を泳いで渡った64歳のアメリカ人ダイアナ・ナイアドの自伝本をもとに映画化されたのがこの作品。監督は、これまでアカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を『フリーソロ』(2018)で受賞するなど、冒険スポーツ・ドキュメンタリー映画で有名なエリザベス・チャイ・ヴァサルヘリィとジミー・チャンの夫婦。今回、初の実写監督デビューを果たしている。64歳のナイアドには、過去にできなかった夢を果たしたいという願望があった。その夢を実現するために必要だったのは自己の決意と体力のほかに、自らのとんでもない挑戦を信じてサポートしてくれる友人。想像を絶する海域を泳いで渡りたいというナイアドの夢は、いつしか、チーム全員の夢となって、ナイアドのど根性に突き動かされていくのである。
主演は名女優アネット・ベニング。これまで『アメリカン・ビューティ』(1999) や『キッズ・オールライト』(2010)などの演技も魅力的だったが、今作では同じ女優だろうかと思うほどに、体つきまでスイマーとなった役作りが見どころである。彼女の一番の理解者を演じるのが、現在、全米大ヒット中の配信ドラマシリーズ「TRUE DETECTIVEトゥルー・ディテクティブ」シーズン4で、クールな女性警官役で主演し、久しぶりに人気急上昇のジョディ・フォスター。14歳の子役スターとして、マーティン・スコセッシ監督作品『タクシードライバー』(1976) に出演して以来、『羊たちの沈黙』(1991) など映画全盛期に一世風靡した女優の代表格である。この作品では、年齢に関係なく夢を追いかけるナイアドをただ1人サポートするコーチ/ 親友ボニー・ストール役を演じている。見ているだけでも想像を絶する過酷な海面シーンで、息の合った演技を見せるベテラン女優2人。
AP通信が行ったインタビューでは、この映画が、体力の限界と自然界とのバランスを受け入れ、自ら可能な限界を熟知しつつも、最後まで戦うことをやめない人間の生き様はすばらしいと語る、伝記映画に体当たりした女優2人の裏話が視聴できる。