Oct 19, 2023 column

第38回:POPE of TRASH ジョン・ウォーターズ監督の偉大なる功績

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アカデミー博物館の豪華絢爛なドリームランドジョン・ウォーターズ特別展

監督は自らのことをセクシー・ニューロティック(セクシーだけど、神経過敏な人間)と呼び、家にある8400冊の書庫の本を常に読んでいる本の虫でもあるのだそうだ。常に、どこか親しみやすく、いつまでも少年のような純粋さのあるジョン・ウォーターズ監督。

監督のあだ名はいろいろあるが、最も有名な「ポープ・オブ・トラッシュ」(「裸のランチ」の作家ウィリアム・バロウズが命名)が、このアカデミー博物館の展示タイトル。ポープ、すなわち、キリスト教のトップ司祭、トラッシュはくずと言う意味もあれば、毒々しい、派手だけど安っぽい物という和訳もある。博物館の4階「ジョン・ウォーターズ」フロアの扉を開けると、そこは真っ暗なジョン・ウォーターズ教会。その壁はディヴァイン、デイビッド・ロカリー、エディス・マッセイなどのジョン・ウォーターズ世界を創造した神々(俳優)のステンドグラスで訪れた人をニヤつかせる。

アカデミー博物館のキュレーター、ジェニー・ヒーによると、初期の監督作品がボルティモアの教会で上映されたことを機に教会を設営。この展示を大きな枠組みで企画。まずは、熱狂的なジョン・ウォーターズのファンに向けたコアな展示。2つめは監督の名前と数作品を知って、興味を持っている層へのつなぎ。3つめには全くジョン・ウォーターズ映画を知らない一般人に監督映画のおもしろさを理解してもらうための、遊び感覚のダンスフロアまで用意されている。

監督の幼少期から始まり、12歳でパペットショーを始めた監督が、17歳で性的思考や性自認に戸惑い、社会の因習に囚われずに、ビート・ジェネレーションが発信した規制の価値観に反逆した制作過程が綴られていく。監督が『ピンク・フラミンゴ』で使ったトレイラーは撮影後、火事で消失したため、再現。脚本や、手書きのオーディション案内ポスター他、映画撮影で使われたユニークな小道具など、約4年間かけてキュレートされたこの展示はまさにジョン・ウォーターズ作品愛に溢れている。展示は来年2024年の8月4日までのロングラン展示である。