Jun 01, 2023 column

第32回:A24発信 「BEEF/ ビーフ」 ! 今、アジアンアメリカンが面白い

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コメディアン、女優アリ・ウォンの魅力

日本での知名度はまだまだかもしれないが、アリ・ウォンは今現在、最も注目されている女性コメディアン。すでにNetflix 配信のコメディショー「アリ・ウォンのオメデタ人生?!  ( 原題:Ali Wong: Baby Cobra ) 」などで妊娠したお腹をかかえて毒舌なトークショーを展開。中国人系アメリカ人の父、ベトナム人の母の間に生まれたサンフランシスコ育ち。アリ・ウォンがコメディアンとしてスタンドアップで活躍するようになったのは、アジア人研究で大学を卒業したすぐ後だそうだ。

お笑いのシナリオを書くほかに、人気ABCドラマ「フアン家のアメリカ開拓記 ( 原題:Fresh Off the Boat ) 」でスクリプト・エディターも務め、ドラマシリーズのヒットとともに注目される。女優としての初映画は同じくNetflix の『いつかはマイ・ベイビー』で、キアヌ・リーブスまでゲスト出演するはちゃめちゃなロムコムである。彼女のお笑い芸人としての固定ファンは大勢いて、「女優になるとスタンドアップ・コメディをやめるタレントも多いけど、スタンドアップ・コメディは私の下積みでなく本業よ!」とお笑い芸人としてのプライドを掲げ、今年も全米大都市でツアーが計画され、すでに完売している日程もある。アリ・ウォンのジョークは、元夫も育児もすべてがお笑いの材料。アジア人というバックグラウンドも豊富にネタにし、社会問題に触れることを恐れない、セクシーで挑発的なアリ・ウォンはアジアンアメリカンの固定されたイメージを変える新風で、目が離せない存在である。

文 / 宮国訪香子

作品情報
BEEF/ ビーフ

業績不振に悩む工事業者と、満たされない心を抱える起業家。運転中にキレて、互いを知らないままにあおり合ったふたりの間に生じた確執は、やがてそれぞれのドス黒い衝動をあぶり出していく。

原作・制作:イ・サンジン

出演:スティーヴン・ユアン、アリ・ウォン、ジョセフ・リー

配信中

視聴サイト Netflix

宮国訪香子

L.A.在住映画ライター・プロデューサー
TVドキュメンタリー番組制作助手を経て渡米。 ニューヨーク大学大学院シネマ・スタディーズ修士課程卒業後、ロサンゼルスで映画エンタメTV番組制作、米独立系映画製作のコーディネーター、プロデューサー、日米宣伝チームのアドバイザー、現在は北米最大規模のアカデミー賞前哨戦、クリティクス・チョイス・アワードの米放送映画批評家協会会員。趣味は俳句とワインと山登り。