第95回アカデミー賞外国語映画賞候補として噂のパク・チャヌク監督作品『ディシジョン・トゥ・リーブ(英題)』
韓国の鬼才パク・チャヌク監督が、日本の土屋ガロン、嶺岸信明原作の同名コミックを映画化した『オールド・ボーイ』の反響は当時、アメリカにおける韓国映画のイメージを逸脱し、2000年のリベンジ・ジャンルのトップとして映画史に残る作品。
物語は、平凡な会社員がある日、突然拉致され、ベッドとテレビしかない部屋に15年間監禁を強いられる。ある日、突然解放されたものの、彼が失った15年の復讐心は彼を怪物化させる。謎の男が出現し、監禁された理由を5日間で解き明かせと、互いの命をかけたリベンジ・ゲームに乗り出すのだった。
2004年、クエンティン・タランティーノ監督が審査員長を務めた第57回カンヌ国際映画祭でグランプリ受賞。2013年にはスパイク・リー監督がリメイクし、アメリカでは去年、オリジナル版の4Kリマスター版も話題になっていた。
パク・チャヌク監督が今年の第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したのが、映画『ディシジョン・トゥ・リーブ(英題)』。
舞台は韓国の釜山。美しい岩山の頂上から堕ちた男の死体から、それが事故死ではなく殺人の可能性があると捜査を開始。やり手の刑事ヘジュンは韓国語を少ししか喋れない中国人妻ソレを尋問。夫から暴力を受けていた事実から動機は確定。しかし、こんなに可憐な女性が、あのギラギラした筋肉質の男を殺せたのかと、彼女の動向を隈なく密着。次第に美しい容疑者に恋に堕ちていく刑事。
都会に住む2人の男女が法の対岸で向き合い、お互いに惹かれあっていく。「アイ・ラブ・ユー」と言わないラブ・ストーリーを手がけてみたかったんだと語る監督の最新作は、ユーモアとひたむきな愛でみなぎっている。
パク・チャヌク監督の映画のエンターテイメント性は、物語のサスペンスが、見ている映像のアングルから語られる点にある。映画『ディシジョン・トゥ・リーブ』は高いところから下への落下がオープニングにあり、岩、岩、岩の岩山の景観から、打ち寄せる荒波と、主人公2人の心理が、傾斜や勾配など、心の傾き加減と比例していき、見る人までもその恋の渦波に呑み込まれていくのである。
年末に向かって今年の映画賞レースもまた、多くのアジア人フィルムメーカーを乗せて、加速し始めている。
文 / 宮国訪香子
“テクノ”と呼ばれる人型ロボットが、一般家庭にまで普及した未来世界。茶葉の販売店を営むジェイク、妻のカイラ、中国系の幼い養女ミカは、慎ましくも幸せな日々を送っていた。しかしロボットのヤンが突然の故障で動かなくなり、ヤンを本当の兄のように慕っていたミカはふさぎ込んでしまう。修理の手段を模索するジェイクは、ヤンの体内に一日ごとに数秒間の動画を撮影できる特殊なパーツが組み込まれていることを発見。そのメモリバンクに保存された映像には、ジェイクの家族に向けられたヤンの温かな眼差し、そしてヤンがめぐり合った素性不明の若い女性の姿が記録されていた。
監督・脚本・編集:コゴナダ
原作:アレクサンダー・ワインスタイン著「Saying Goodbye to Yang」(短編小説集「Children of the New World」所収)
出演:コリン・ファレル、ジョディ・ターナー=スミス、ジャスティン・H・ミン、マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ、ヘイリー・ルー・リ チャードソン
配給:キノフィルムズ
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公開中
公式サイト after-yang.jp
第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞。パク・チャヌク監督が「“アイ・ラブ・ユー”と言わないラブ・ストーリーを手がけてみたかった」と語る最新作。
監督:パク・チャヌク
出演:パク・ヘイル、タン・ウェイ ほか
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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2023年 公開予定