【ブロンウィン役】
イラン生まれの中堅女優ナザニン・ボニアディは国際人権NGO アムネスティ・インターナショナルのUKアンバサダーでもある。大人気政治サスペンス・ドラマ「HOMELAND/ホームランド」でも女優クレア・デインズ演じる主役CIAエージェント、キャリーをサポートする役で人気を博していた。
「ロード・オブ・ザ・リング:力の指輪」では、原作にないブロンウィン役。シングル・マザーで治療師という役どころで、エルフとの禁じられた恋に墜ちるなど、自由を求める強い人間の役を演じている。
ナザニンは先月から世界規模のデモに拡散している22歳のイラン人女性マフサ・アミニ氏のヒジャブの着け方をめぐったイランの道徳警察による逮捕・死亡事件をめぐり、米現地時間9月30日に特別コラムを米デッドライン紙上で投稿。
「2ヶ月前に私はサンディエゴのコミコンのホールHで、私のブロンウィン役を、自由のために約40年間闘いつづけている勇敢なイラン人女性たちに捧げますと話しましたが、その言葉が、今日という日にいかにふさわしいか、魂が震えています。」と9月16日から続いているイランの大規模なデモが、女性が主導となった、これほどまでない大きな変革であるとハリウッドの支援を訴え、「アンチ・ウーマンはアンチ・ヒューマン」であると、ドラマのブロンウィン役の意志と共鳴するような、人間の尊厳を訴えている。(参考リンク:The Rings Of Power’s Nazanin Boniadi Calls For Action After Death Of Mahsa Amini In Iran – Guest Column)
【ホビットの祖先ハーフット族のノーリとポピー】
映画『ロード・オブ・ザ・リング』のホビット役フロド・バギンズとサムの友情はファンにとって忘れられないエピソード。新シリーズの舞台は原作「指輪物語」の遥か数千年前ということもあり、物語はトールキン財団が保有するJ・R・R・トールキンのメモや息子たちへの手紙などに基づいて制作されているそうで、プライム・ビデオにリンクされたトールキン財団のJ・R・R・トールキンの息子クリストファーに贈られた手紙の内容など、作家がいかに病んだ社会の根源について考えていたかが伺える。(参考リンク:CHRISTOPHER TOLKIEN 30 APR 1944)
ホビットの祖先として描かれているのがハーフット族。身長約120センチでエルフとも違う尖った耳を持つ少女エラノールは好奇心旺盛。通称ノーリとポピーという少女たちの友情は、どこかしら、フロド・バギンズとサムとの友情に似ていて、原作の繋がりを感じさせる。
さらには、ノーリが助ける幻の巨人というのが、フロド・バギンズを導く巨人で魔法使い(イスタリ)のガンダルフの姿と共鳴し、種族の重要な役割りを構築している。ノーリを演じるのが、オーストラリア出身のマルケラ・カヴェナー。ティーン・ボーグのインタビューでは、弱点やもろさがあるからこそ、このノーリ役が生きるのだと、ポピーを演じるイギリス出身のメーガン・リチャーズともに息の合った演技で好演。
彼らの冒険がシーズン2でどのように変化していくのか、来週の全世界配信の最終エピソードに向けて、視聴者からも声援がたくさん送られているようだ。
文 / 宮国訪香子