Sep 16, 2022 column

第17回:女王エリザベス2世の崩御で観直したい映画、そして配信ドラマ

A A
SHARE

今年11月15日の配信が決定しているのが、「ザ・クラウン」待望のシリーズ5。舞台は90年代の王室。主演のエリザベス2世を演じるのが『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』(07)で知られるようになった王立演劇学校出身のベテラン女優イメルダ・ストーントン。ダイアナ妃がチャールズ皇太子と離婚するエピソードも含まれている。

すでに最終章といわれているシーズン6は来年順次配信されるそうで、近年の王室にぐっと近くなって2000年。ウィリアム王子と交際するようになったケイト・ミドルトンまで登場するということで、ファンはどんな新キャストに出会えるのか、実在の王室メンバーと比べて検索しているようだ。どのシリーズも一つ一つ、美しく丁寧に撮影されているこの作品。それぞれのエピソードで完結しているので、忙しい人には個々でも楽しめるおすすめの配信ドラマである。

© 2021 – Netflix

対ダイアナ妃で描かれる女王

長編ドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』が公開され、ダイアナ妃がなくなったときの世界中の反響ほか、集められた17年間の映像をつないだ作品が米HBOで配信されている。

去年、女優クリステン・スチュワートがアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた映画『スペンサー ダイアナの決意』は女性を描くことに定評のあるパブロ・ラライン監督作品で、ダイアナ妃対、王室の確執と不和が浮き彫りになる中、主人公、ダイアナ妃が孤独と、自らの殻から抜け出る瞬間など秀作である。『わたしは生きていける』の女優ステラ・ゴネットが冷たい女王の姿を演じていて、作り手によって様々に変化するエリザベス2世像も比較するとおもしろい。

在位70周年の長編ドキュメンタリー映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』が日本での公開も延長したそうだが、今後もあらゆる角度で女王像は描かれ、時代を翻弄した英国王室のドラマが作られ続けるに違いない。

文 / 宮国訪香子

作品情報
ドキュメンタリー映画『プリンセス・ダイアナ』

世界中で大フィーバーを巻き起こし日本でも高い人気を誇ったダイアナ元皇太子妃のドキュメンタリー。歴史に残る結婚式、子供が生まれた日、離婚にまつわるスキャンダル、AIDSの子供を抱きあげる姿、そして彼女が亡くなった日‥‥世界中で25億人が見たという、「ダイアナ妃の葬儀」。むきだしの映像が、ダイアナ元皇太子妃の人生を物語る。

監督: エド・パーキンズ

配給:STAR CHANNEL MOVIES

2022年9月30日(金) TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国公開

公式サイト diana-movie.com

映画『スペンサー ダイアナの決意』

1991年のクリスマス。ダイアナ妃とチャールズ皇太子の夫婦関係はもう既に冷え切っていた。不倫や離婚の噂が飛び交う中、クリスマスを祝う王族が 集まったエリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウス。ダイアナ以外の誰もが平穏を取り繕い、何事もなかったかのように過ごしている。息子たちとのひと時を除いて、ダイアナが自分らしくいられる時間はどこにもなかった。ディナーも、教会での礼拝も、常に誰かに見られている。彼女の精神はすでに限界に達 していた。追い詰められたダイアナは、生まれ育った故郷サンドリンガムで、今後の人生を決める 一大決心をする。

監督:パプロ・ラライン

主演:クリステン・スチュワート、ジャック・ファーシング、ティモシー・スポール、サリー・ホーキンス、ショーン・ハリス

配給:STAR CHANNEL MOVIES

© 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED

2022年10月14日(金) TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

公式サイト spencer-movie.com

宮国訪香子

L.A.在住映画ライター・プロデューサー
TVドキュメンタリー番組制作助手を経て渡米。 ニューヨーク大学大学院シネマ・スタディーズ修士課程卒業後、ロサンゼルスで映画エンタメTV番組制作、米独立系映画製作のコーディネーター、プロデューサー、日米宣伝チームのアドバイザー、現在は北米最大規模のアカデミー賞前哨戦、クリティクス・チョイス・アワードの米放送映画批評家協会会員。趣味は俳句とワインと山登り。