特殊効果SFXの巨匠スタン・ウィンストンのレガシー
2008年はスピルバーグ監督にとって悲しい年。著者マイケル・クライトンが66歳で亡くなり、スタン・ウィンストンが62歳で他界した年である。彼の名前を最初に世に知らしめたのは『ターミネーター』の特殊メークとサイボーグの骨格。ロボットや空想の動物など、人工の皮膚などで物体を覆い、リアルに形を造形し、そのアニマトロニクスを操作するアーティスト。着ぐるみの延長で、人間がその造形物を動かすなど、当時、その技術で右に出る者はいなかった。
彼のお葬式には、ジェームズ・キャメロン、シュワルツェネッガーなど多数の著名人が賛同。スピルバーグ監督は「スタンは私たちの夢を自身の夢にブレンドさせて、それらの夢をペンや粘土や、のちにコンピューターで描き、命を吹きこんだんだ」と故人を忍んだという。
優れたビジョンの持ち主だったスタン・ウィンストンは映画『ジュラシック・パーク』の仕事が決まるまえに、ロサンゼルス北にあるスタジオを隣接のビルを購入して増築。T-レックスなどを撮影することを予測し、屋根を高くする工事を開始していた。スタジオの中には、メカニカル部、ヘアー・デパートメント、モールド・メイキング / ペインティングの部屋など、各部署で『ジュラシック・パーク』撮影のための準備が万全に整えられていた。
私も『ジュラシック・パーク3』(2001)の取材のため、スタン・ウィンストン工房を訪れたことがあるが、所狭しと、関わった映画で使われたキャラクターたちが並んでいて感動した。現在は、レガシー・エフェクツ(築いた技術を継承するという社名)と名が変わり、ウィンストンの弟子たちによって、SFX技術が引き継がれている。
時代はほぼ、その30年後。いまだに弟子たちから愛される存在として、インスタグラムで忍ばれているだけでなく、彼の業績は、ウェブ上でも学ぶことが可能。未来のクリエイターの卵たちに息を吹きかけ続けている。(参考:Stan Winston School)
文 / 宮国訪香子
『ジュラシック・パーク』シリーズの第6作目であり、『ジュラシック・ワールド』3部作の最終章にあたる。
監督:コリン・トレヴォロウ
出演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム、サム・ニール、ディワンダ・ワイズ、マムドゥ・アチー、BD・ウォン、オマール・シー、イザベラ・サーモン、キャンベル・スコット、ジャスティス・スミス、スコット・ヘイズ、ディーチェン・ラックマン、ダニエラ・ピネダ
吹替版声優:玉木宏、木村佳乃 ほか
配給:東宝東和
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