Mar 21, 2017 column

『ゴースト・イン・ザ・シェル』の公開が待ち遠しいSF好きなあなたに贈る、映像化希望SF小説&コミックセレクション!

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SF小説とSF漫画を原作とした映像作品は、実写、アニメを問わず、たくさんあり、名作も多い。思いもよらないビジュアルが描かれるのがSFの魅力のひとつであり、そうした点でも映像作品との相性がいいと言えるのだろう。
最近では、夭逝した小説家・伊藤計劃の代表作が原作の劇場版アニメ『虐殺器官』が高く評価された。制作会社が倒産するというトラブルもあり、公開が危ぶまれてファンをやきもきさせた『虐殺器官』だが、待たされただけの甲斐があるクオリティとなっていた。人間の虐殺を引き起こす本能を刺激する“虐殺の文法”を巡るストーリー展開は、フェイクニュースなどの言葉が人々の憎悪を煽る現代にこそふさわしい作品となった。

 

これから公開が予定されているSFの映像化作品としては、『ゴースト・イン・ザ・シェル』が注目なのは言うまでもないだろう。 士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を押井守がアニメ化した『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』は『マトリックス』などのハリウッド作品に多大なる影響を与えたことで知られるが、そのSFアニメの金字塔が今度はハリウッドで実写映画化される。

 

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主演は『アベンジャーズ』などのスカーレット・ヨハンソン。そこに、ビートたけし、フランスのジュリエット・ビノシュなど、ワールドワイドな実力派の役者陣が集結。押井守作品でおなじみの川井憲次が音楽を担当しているのも気になるところだ。

 

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近未来。悲惨な事故から命を救われた少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、脳以外は全身義体となり、公安9課を率いてサイバーテロ組織と対峙する。だが、捜査を進める中で、少佐は自分の記憶が操作されたものだということに気づいてしまう…。
ハリウッドのVFXで、『攻殻機動隊』のSF要素である義体や光学迷彩などがどう実写で再現されるのか楽しみでならない。

 

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ここからはぜひ映像化してほしいSF小説とコミックを紹介していこう。

まずは、ピーター・トライアスの小説『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』。
ビルを背景にした巨大ロボットが描かれたカバーイラストが発表された際には、多くのSFファンが驚きと期待の声を上げた。物語の舞台は、第二次大戦で敗北して日本に支配されているアメリカ。書籍のカバーのロボットは日本が有する巨大兵器で、巨大ロボットがアメリカを闊歩しているディストピアSFなのだ。 主人公は帝国陸軍大尉の石村紅功(べにこ)。石村は特高警察の槻野昭子に協力して、かつての上官の六浦賀将軍の行方を追う。六浦賀は第二次大戦でアメリカが勝利するゲームを開発し、アメリカ人の抵抗組織に協力しているのだという…。ヘンテコな日本文化が描かれる点などで好き嫌いがわかれそうだが、ロボットのバトルなど、映像化に相応しい要素が満載だ。
日本語訳では関西弁でしゃべる天才女性パイロット久地樂(くじら)が操るロボットの活躍は、映像化ならではのド派手なアレンジを加えて『パシフィック・リム』ばりの迫力で是非描いてほしい。