Apr 30, 2019 column

最終章、ついに開幕!TVドラマ界の常識を打ち破った「ゲーム・オブ・スローンズ」の革新性

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ジョージ・R・R・マーティンの大河ファンタジー「氷と炎の歌」シリーズをドラマ化し、今や世界的ブームを巻き起こすほど大ヒットしているドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」がついに最終章を迎えた。夏と冬が不規則に巡る大陸ウェスタロスにある七王国を舞台に、諸名家が繰り広げる熾烈な玉座争いを描いた本作は、ある意味で王道を描いていながらあらゆる点でテレビシリーズの枠を超えた型破りな作品だ。各章を振り返ると共に、エンタメ界に与えた影響と偉業、その革新性を紐解いていく。

原作の世界観を守り抜く徹底したスタンスが、テレビ界の常識を次々と打ち破る

原作の世界観をリアルに描く事に徹底的にこだわったクリエイターのデヴィッド・ベニオフとD・B・ワイスと、アメリカのハイクオリティドラマの代名詞となるケーブルテレビ放送局HBOがタッグを組んだ事、これがアメリカのテレビ史に残る傑作誕生の始まりだ。製作陣に原作者のマーティンも加わった事でその世界観はより強固になり、映画並みの莫大な予算をかけて、北アイルランドを筆頭に、アイスランドやモロッコ、スペイン、クロアチアなど、ヨーロッパ各地で大規模なロケを敢行。ドラゴンが空を舞い、怪しい魔術が当たり前に存在するファンタジー世界でありながら、歴史ドラマを見るような重厚感とリアリティを感じさせるその映像美とスケール感は、近年の海外ドラマの中でも屈指の仕上がりになっている。キャストには有名・無名を問わず、キャラクターをリアルな人間として演じられる実力派を揃え、今や無名だったキャストたちが軒並みブレイクしているほど、ドラマという枠を超え、エンターテイメント界に絶大な影響を与えている。


「ゲーム・オブ・スローンズ 最終章」Photo: Helen Sloan/HBO

もちろん映像美だけでは世界的大ヒットへと繋がるはずもなく、これはいわば土台。あくまでもメインはストーリーテリングにあるが、ここでも本作は次々とテレビシリーズの常識を覆している。第一話からしてかなりのキャラクターが登場するが、説明描写は少なく、見る者は問答無用で七王国の世界へと引き込まれる。ここでまず「第一話はキャラクター等の説明エピソード」というテレビシリーズのセオリーを本作はスルーしているわけだが、それを補って余りあるほどの謎やサプライズが盛り込まれ、ストーリーが進むほどにキャラクターの個性が際立ち、登場人物の多さや説明の少なさが全く気にならなくなってくる。イッキ見向けの配信作品であれば珍しくもない手法だが、これを2011年の時点で、テレビ局制作のドラマシリーズで実現しているところが画期的だ。裏を返せば「ゲーム・オブ・スローンズ」はイッキ見するのにも最適な作品と言えるわけで、事実、観れば観るほど続きが観たくなる高い中毒性のあるドラマになっている点が、この作品がヒットした要因のひとつになっている。

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