なぜ、こんなにエネルギーに溢れた映画祭なのか?一攫千金を夢見る若者が世界から集まる環境
Mifaの現代表であるヴェロニク・エンクレナ (Véronique Encrenaz) は「今年、Mifaが立ち上がってから記念すべき40周年を迎えています。マーケットの活況はご覧の通り。日本からのゲストも年々増えています。」と述べる。そして筆者は彼女から「Mifaの魅力である”Mifa Campus(キャンパス)”を覗いてみて」と薦められたので、Mifa会場から徒歩5分のところに位置する別会場を訪ねてみた。

このCampusという仕組みは、アニメーションおよびゲーム業界に興味がある学生たちを対象に、専門的なパネルトークや特別合宿セミナーを行ったり、個人の学生と企業とのリクルーティングを行う、”金の卵たち”を育て羽ばたかせる(そして自分たち企業も恩恵を受ける)システムが明確に短期集中で行われている。このCampusの単独施設が出来上がったのが3年前なので、正式な動員数などは今年初めて主計をしている、と言うことだが、施設自体のキャパシティと日々のイベントの数から想像するに、毎日1000人ほどがこのCampusを利用していることになる。


大変興味深いことに、アヌシーの映画祭に自らの作品を出品している監督やプロデューサーたちも会期中にこのCampusに立ち寄って、自分たちの次回作に必要な人材(背景画家、カラーリスト、キャラクターデザイナーなど)をピンポイントでリクルートし、学生たちへの就職斡旋が成立しているのだ。アニメーションおよびゲーム業界での就職を希望する学生たちにとっては、Netflix、Warner Brothers Animationをはじめとする大手企業の社員やクリエーターと直接対面することができ、自分のスキルをプレゼンして、そのままスタジオからの仕事を受注することができる、まさにドリーム実現の場所でもある。言語、地域を超えて自分のスキルを世界の市場で挑戦できる環境、これはアニメーションおよびゲームという共通言語が持っている強みであり、こうした長期循環型のフォーマットを確率しているアヌシー映画祭は、今後も素晴らしい作品や人材を世界に輩出し続け、次世代に続く世界経済と文化発展を提供できるのだろう。

文・写真 / 高松美由紀
1960年にカンヌ国際映画祭から独立設立された、アニメーションに特化した国際映画祭。世界最大のアニメーション映画祭ではあるが、最近ではゲームやVR などに関連する作品の上映やセミナーやピッチなども増えており、アニメーション業界に関連する他分野からの注目も高く、世界の映画祭の中でも大きな成長を続ける数少ない映画祭・見本市合併型の祝祭。
開催:フランス・アヌシー
映画祭:2025/06/08 ~ 2025/06/14
MIFA(見本市):2025/06/10 ~ 2025/06/13

人間と人魚が共存する未来社会。船舶をつくる会社で働くサラリーマンのステファンは、ある日突然、人魚王国のお姫さま・チャオに求婚される。ステファンは訳も分からないまま、チャオと一緒に生活することに‥‥ 。純粋で真っすぐなチャオの愛情を受けて、ステファンは少しずつチャオに惹かれていく。
監督:青木康浩
アニメーション制作:STUDIO4°C
声の出演:鈴鹿央士、山田杏奈、シシド・カフカ、梅原裕一郎、三宅健太、太田駿静、土屋アンナ、くっきー!、山里亮太
配給:東映
©2025「ChaO」製作委員会
2025年8月15日(金) 全国ロードショー
公式サイト chao-movie