併設されている見本市Mifa、今年はまさに芋の子を洗うような活況ぶり
映画祭にあわせて、世界最大級のアニメーション見本市Mifaが同時開催されており、世界約70以上の国と地域からアニメビジネス関係者が参加する一大マーケットとして、こちらも毎年規模を拡大している。Mifaでは作品配給権の売買、出資者や製作者たちとのネットワーキングが行われているほか、インダストリー・パネルや、WIP(ワーク・イン・プログレス)のプレゼンテーションなど、アニメーションやゲーム、テレビなど多岐に渡って様々な情報交換などが行われており、世界で最も重要なアニメーションに特化したマーケットとなっている。今年は、映像産業振興機構VIPOの支援を受けて日本から大小約10社の企業が、多くの応募数から厳しい審査を受けて選考され、Mifa内のVIPOのブース内で忙しく商談を繰り広げている。

VIPOの森下美香(統括部長・グローバル事業推進部長)は「10年ほど前に、一度我々のスタッフを現地に飛ばして視察に来ていました。その当時は日本人のプレゼンスはなく、とはいえマーケットのポテンシャルが見えていたので、当時のMifaのトップらを日本に招聘して、まずはアヌシー映画祭のことを日本人のプロフェッショナルに紹介するセミナーを実施しました。」と振り返る。その数年後に、森下氏率いるVIPOの読み通り、アヌシー映画祭自体がアートや芸術性の作品だけではなく商業映画も取り込むようにシフトしていき、長編の商業アニメ映画を大得意とする日本勢がどんどんと参入するようになってきた」と言う。実は、日本からの参入には、長い歴史があったのだ。

また、劇場版『名探偵コナン』シリーズなどを大ヒットに導いている国内アニメ企業の最大手の一社であるトムス・エンタテインメントは、昨年から積極的にスタッフをアヌシー映画祭に派遣、自らも現地のマーケットやアニメーションの世界情勢を視察している。竹崎忠氏 (株式会社トムス・エンタテインメント代表取締役社長) に現地で話しを伺ってみた。竹崎氏曰く「『名探偵コナン』や『それいけ!アンパンマン』のような定番シリーズを持続的にヒットさせるだけでなく、これからはオリジナルのアニメーション映画も創っていこうと考え、プロジェクトをスタートさせています。オリジナルでまだ世の中に認知されていない企画は、アヌシーのような映画祭に出すことで知名度を上げていきたいと考えています。今は、来年以降の発表に向けて準備している段階です」と明言している。また、アヌシー映画祭については「日本の場合は、テレビシリーズを含めた商業アニメーションが主流ですが、ヨーロッパはアート系作品や子供向け作品が主流だという市場の違いがあります。そんな中、アヌシー映画祭は日本の商業ベースのアニメーション映画であってもひとつの長編映画としてきちんと評価してくれ、作品へのリスペクトも感じるので、ここアヌシーからオリジナル作品を世界に発信していく価値は十分にあります」と述べる。企業側も、アニメーション自体の製作と同時に、その作品のための市場開拓をするために、長期的な視野を持って突き進んでいるようだ。
