ヨーロッパから日本への関心は、昔も今も波のようにずっと続いている
この映画祭の特徴として、とても顕著な点が2つ。一つは、毎年選ばれる旬な映画を通して、日本文化を感じることができる立体的なお祭りになっていること。クロムファス氏が「立ち上げた当初は、日本映画ブームが始まっており、そのすぐ前後にイギリスでデビューした女性バンドの「少年ナイフ」をはじめとしたヨーロッパでのJ-POPブームがあったので、映画祭立ち上げから数年は、音楽やアートの角度からも映画祭に興味を持つ人が多く湧き出てきた」と回顧するように、映画を媒介として日本そのものに興味を持つ人たちがいろんな角度から会場に足を運んでいた。その後、漫画・アニメブームが大きな勢力を持って映画祭に傾れ込み、そうこうしているうちに、日本食ブームが大波小波と打ち上げられながら、ここ数年は円安も相まって日本旅行ブームが入り込み、今またジャパニーズ・シティ・ポップリバイバル・ブームなどと続いている。
ニッポン・コネクションは、日独の文化交流の貢献度も高く、クロムファス氏は2013年に日独文化交流に対する貢献が認められ外務大臣表彰を受賞、その10年後である2023年には旭日双光章を授与されている。このクロムファス氏の日本映画および文化に対する“執着”は、今年の映画祭のテーマである<執着:情熱から狂気まで>を体現しており、本映画祭は、常に動き続ける日本ブームを寛容に受け入れ、祝祭に昇華している。
