今年の年末はいかがお過ごしでしょうか? 予定のある方もない方も、いま話題となっている配信オリジナル作品をじっくり観るのにいい機会。otocotoでは選りすぐりの人気作・話題作をご紹介します。
ゆっくりリフレッシュできるストップモーションアニメ
全世界的に全年代がストレスにさらされることが増えた昨今。誰もが心を落ち着ける場所が必要とされている。そんな時代になってしまった年末年始にオススメしたいのが、12月28日より独占配信された完全新作ストップモーション・アニメーション、Netflixシリーズ「ポケモンコンシェルジュ」だ。
本作は人間だけでなくポケモンたちもお客さまとして訪れる南の島”ポケモンリゾート”を舞台に、新米コンシェルジュのハルが、先輩スタッフとともにポケモンのお世話に奔走しながら、やがて本当の自分らしさに気づいていく物語。
主人公のハルは、6年半付き合っていた彼氏にふられ、お気に入りの靴でガム踏んだり、大事なプレゼンに失敗したり、気の合う後輩が辞めたりと、とにかく嫌なこと続きの都会暮らしのOL。そんな彼女が一念発起しリゾバすることを決意する。当初は辞めさせられないようにと、資料を作成し勤務方針を必死にプレゼンするが、素直に自分自身が楽しむことの大事だと教えられる。
ひとつひとつのセリフが示唆に富んでおり、「ポケモンって何をしてほしいか言ってくれないから、何をしたらいいか全然わからなくて‥‥」と戸惑うハルに、先輩コンシェルジュは「人間だってそんな素直に口に出さないじゃん、察して~とか言ってさ」と優しくヒントを贈る。このように主人公だけでなく、観ている我々もどこか肩の荷を下ろさせてくれ、気持ちを楽にさせてくれる。決して教訓めくのではなく、ゆるくてほっこりした内容で、各話14分から20分の全4話で構成されているので気疲れしない。
主人公のハルを演じたのは、のん。ハルとともに働く先輩役の声優にファイルーズあい、奥野瑛太、竹村叔子が脇を固める。完全新作のクレイアニメなので違う世界線なのかと思いきや、第4話に登場するピカチュウの声を大谷育江が演じ、やっぱりそうじゃなくっちゃね、とポケモンファンに向けても心憎い演出をしている。
本作を手がけたのは、NHKのイメージキャラクター「どーもくん」をはじめ、ゼスプリキウイCMの「キウイブラザーズ」など多くのキャラクター開発とこま撮りアニメーションを手がけるドワーフ。
すでに配信済みのNetflixシリーズ「リラックマと遊園地」でも魅せてくれた風景描写の美しさもさることながら、かわいらしいポケモンたちの姿、その素材感が素晴らしい。
最初に登場するフシギダネの植物部分と動物部分の違いや、ウパやミズゴローという水系ポケモンのラバーのような皮膚感と、メタグロスの金属感。コラッタとオオタチのモフモフ感の違いなど、非常に細かいところまで再現しつつもポケモンたちを違和感なく動かしている。コイキングは進化してギャラドスになるし、カイリュウに乗って空を飛ぶ。こういったポケモンの当たり前の姿をストップモーションアニメで見せられるとそのクオリティの高さに感動する。
そして、エピソードラストに流れる、竹内まりやの主題歌「君の居場所(Have a Good Time Here)」だ。のん主演で楽曲が竹内まりやだと気づいたとき、なんて世界観が統一されているだ、と感嘆してしまった。何も操作しないとクレジットがスキップされてしまうので、聞き逃さないようにしてほしい。
本作のために書き下ろした詩の内容が作品そのものを表しているので引用したい。
ポケモンコンシェルジュとは「ポジティブなだけが正解じゃない、そんな答えに出会える場所」である。
子どもも大人もゆっくりする時間が必要だ。
文 / 小倉靖史
ポケモンたちがお客さまとして訪れる南の島”ポケモンリゾート”を舞台に、新米コンシェルジュのハルが、先輩スタッフとともにポケモンのお世話に奔走しながら、やがて本当の自分らしさに気づいていく物語。
監督:小川育
制作:ドワーフスタジオ(株式会社 FIELD MANAGEMENTEXPAND)
声の出演:のん、ファイルーズあい、奥野瑛太、竹村叔子
©2023 Pokémon. ©1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
Netflix にて独占配配信中
公式サイト pokemonconcierge