Aug 25, 2017 column

ノーラン、『ダンケルク』に『羅生門』の影響を明かす

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『ダークナイト』『インセプション』など、新作を発表する度に世界中から注目を集めるクリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』。ノーランが初めて実話に挑んだ本作は、1940年の海の街・ダンケルクを舞台に、実際に起きた史上最大の“救出”作戦が驚異の臨場感と共に描かれる。9月9日(土)の日本公開を前に、ノーランが24日(木)に開催された来日記者会見とスペシャル・トークイベントに出席。会見ではノーランのファンである岩田剛典 (EXILE / 三代目J Soul Brothers)も登場し、さらにスペシャル・イベントでは日本の未来の映像クリエイターたちからの質問にノーランが熱く回答した。

 

「この物語はどの文化圏でも共感してもらえる作品」—ノーランが“ダンケルク”から感じたメッセージ

 

実話に初挑戦した本作において、ノーランはダンケルクでの出来事について調査したそうで、「実際にダンケルクにいた方々の証言を聞いて、徹底的にリサーチを重ねた。観客に当事者のように感じてもらえるように、主観的な映画を撮りたかった」と明かす。さらにリサーチする中で、「あの浜辺で何が起きたのかを直接聞いて心を揺さぶられた。映画の脚本を書く上では、彼らの体験談を架空の人物たちに語ってもらうという手法を取りました」と振り返る。

本作は、戦いではなく、人々を“救出”する物語が展開する。戦地を舞台にしながらも残虐な描写が一切ないことについては、「これは戦いの話ではなく、撤退の物語。逃げなければならないから、サスペンススリラーという手法をとりました。従来の戦争映画であれば、戦争がいかに恐ろしいか、目をそむけたくなるような描写になりますが『ダンケルク』は違う」と語る。続けて、「この映画は、むしろ目が釘付けになってしまうようなアプローチを取っています。これはサバイバルの物語。そして、時間との闘いであるという点もこの映画をサスペンスフルな作品にしています」と自信をのぞかせる。

またダンケルクでの出来事について、「個人の業績などをもてはやす傾向にありますが、みんなが協力し合って出来ることの偉大さ、一人ではなし得ないことでも力を合わせれば成し遂げられるということがメッセージだと思う。この物語は、どの文化圏でも地域でも、みなさんに共感してもらえる作品です」と真摯な眼差しで語った。

 

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さらにここで、ノーランファンを公言する岩田剛典が登壇。岩田は、「戦争がテーマというだけで食わず嫌いな方もいると思いますが、エンターテイメント作品であり、テーマ性を抜きにしても楽しめますし、登場人物それぞれにストーリーがある。現代でも共感できると思う」と本作の魅力を熱弁。岩田のように日本の若い世代でも本作に魅了されることについてノーランは、「実際に戦場で戦っていたのは20歳前後の兵士だったので、若い俳優に出演してもらいました。戦場の現実を見せなければいけないから、これはとても大事なポイント。自分と同年齢の人がこういった現状を突き付けられていた、という事実を見せたかったんです」と、本作において新人を含む若いキャスト陣を起用した想いを語った。

 

『羅生門』の影響とフィルム愛、最近観た興味深い邦画は……?

 

その後、映像クリエイターを目指す学生100名が集まったトークイベントに登場したノーラン。まず、映画作りを始めるきっかけについて、「7~8歳くらいの時に、父がスーパー8のカメラを貸してくれて、弟と一緒にショートフィルムを作っていた」と回顧。そして「私にとって映画を作ることは情熱でした」と熱くコメントした。

続けて、映像を学んでいる学生からの「今何を学ぶべきか」という質問に対して、「たくさん映画を観てほしい。そして楽しんでほしい」と回答しながら、「同時にその作品を分析することが大切。私は映画学校には行ってないですが、いろんな映画を観て、どうストーリーを描いて、どう観客を引き込もうとしているのかというメカニズムを理解しようとしていました」と振り返る。さらに「予算などの規模に関わらず、一番大切なことは、監督として常に同じ姿勢を貫くべきだということ。それは規模やクルーの数に関わらず大事なこと」と、学生たちに語りかけた。

また、現在の映画業界ではデジタル上映が主流となっているが、ノーランはフィルムにこだわっており、本作も期間限定で35mmフィルムでの上映が決定。フィルムにこだわる理由について、「アナログのフィルムは色に深みがあって、私が世の中を見ているような絵がフィルムでは再現される」と語り、「映画の種類によってフィルムも変わってきます。リアリズムを追求するのであれば、独特の質感を持っているアナログ・フィルムがベスト」と続けて、フィルム愛を熱弁した。

 

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また、これまで様々な日本映画を観てきたと語るノーランは、本作における『羅生門』の影響を明かす。「それぞれの散在しているようなストーリーが一つの大きな物語を語っている。『羅生門』は何度も観返していますが、誤解や間違った記憶というテーマがすごく面白いと思います」と語り、さらに最近観た日本映画として『永遠の0』を挙げ、「(ジャパンプレミアで山崎)貴に会うから観たということもありますが、『ダンケルク』とパラレルになっている興味深い作品だと思う。面白いアイデアや考え方を想起させてくれました。完成された作品」と賛辞を贈った。

最後に学生たちとフォトセッションを行ったノーラン。熱意ある学生からの質問に対して誠実かつ真摯な面持ちで回答する様は、驚くまでに映画作りへの“情熱”を持った、映画を愛する天才監督の姿だった。
なお、otoCotoではノーラン監督のインタビューを近日公開予定。

 

作品情報

 

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『ダンケルク』

1940年、海の町・ダンケルク。追いつめられた英仏軍40万は撤退を決断。若き兵士トミーは、絶体絶命の窮地から脱出できるのか!? 民間船もが救助に関わった、史上最大の救出作戦が幕を開ける。

映画『ダンケルク』
監督・脚本・製作:クリストファー・ノーラン
出演:トム・ハーディ、マーク・ライランス、ケネス・ブラナー、キリアン・マーフィー、ハリー・スタイルズ ほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. ALL RIGHTS RESERVED.
2017年9月9日(土)公開
公式サイト:dunkirk.jp

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