Jul 30, 2019 column

『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』公開間近!愛され続ける『ドラクエ』の魅力を考える

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『ドラクエ』のいま

今年は、PS4、3DS『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』にボイスをつけるなど大幅にパワーアップを施したリニューアル版がNintendo Switchで発売されることや、スマートフォンのAR(拡張現実)機能を使用した『ドラゴンクエストウォーク』も展開され、ますますゲームに触れない一般層への浸透が高まり、日本全体での“ドラクエ熱”が高まることが期待されている。

ところが、世界中のゲームファンにとって“ドラクエ熱”が高いかというとそうでもない。実際『ドラクエ』シリーズは海外で日本ほど高い人気を持っているわけではなく、タイトルも『ドラゴンウォーリアー』と変更されており、海外のゲームファンからすると日本で定期的に発売されるオールドタイプRPGとして認知されている程度である。

だが6月上旬に海外で行われたゲーム見本市“E3”でこの空気に変化が起きた。任天堂から発売されている『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』(海外タイトルは『Ultimate』)のゲストキャラクターとして、『XI』の主人公が“ゆうしゃ”として参戦することが発表された。これはもちろん先も書いたようにNintendo Switchでの『XI』リニューアル版発売のプロモーションの意味合いも兼ねての参戦でもあると考えられるが、それ以上に衝撃的なのが、ライバルタイトルの『ファイナルファンタジー』シリーズで最も人気のある作品『VII』の主人公クラウドがこのゲームにゲスト出演しており、ついに同じフィールドで『ドラクエ』vs『FF』の闘いに火蓋が切られることで、国内外のゲームファンたちが“夢の対決”に胸を膨らませている状況だ。

加えてキャラクターカラーを変更すると歴代シリーズの主人公もある程度選択できるため、日本の『ドラクエ』ファンは参戦の時期をいまかいまかと心待ちにしているという熱狂的な状況で、この『スマブラ』参戦をきっかけに、海外でもさらに多くの『ドラゴンウォーリアー』のファンが増えることが期待されている。

なぜいま『V 天空の花嫁』なのか?

最後に、『ユア・ストーリー』を現在の映画市場から鑑みてある核心に触れてこのコラムを終わりにしたい。なぜ11作もある作品の中でファンの間で議論が熱い『V』が選ばれたのか、不思議に思う人も多くいることだろう。この手のゲーム原作の映画化というのは常にリスクがつきもので、どうせやるならシリーズで最も話が薄い『I』であるべきで、ここに堀井氏がストーリーの肉付けを行えば、安牌な作品になっていたことだろうと思うはず。もちろん最もファンの議論が熱い作品だからこそ、話題性から初週の動員が見込めるということも考えられるが、『V』は他の作品ではないある要素が現代の映画市場と密接に関係している。

それは“親子の絆”。

『V』の冒頭では主人公の父親のパパスが子どもを守りながらストーリーが進行し、パパスは子どもの目の前でゲマに焼殺され、主人公はゲマの奴隷として連行される。奴隷生活を10年送り立派な青年になった主人公はゲマの元を脱出し、各地を転々とする中で、物語中盤に結婚。その後、子どもをもうけた主人公は、パパスから脈々と受け継いでいた“王位からくる力”を子どもに託して世界を救う、という流れだ。

この親から子へ、子から孫へという“次世代に希望を託す”というテーマは『スター・ウォーズ』や『LOGAN/ローガン』、『ウォーキング・デッド』をはじめ、ハリウッドではヒットしやすい傾向の作品で、その理由も“映画に触れることが当たり前になった世代が家庭を持ってきている”という事情から来ている(もちろんこうしたテーマは人類普遍の共感テーマだ)。

日本でも70年~80年代の映画鑑賞がテレビを通じて浸透し、当時『V』をプレイしたであろう世代がちょうど30代~50代、主人公やパパスとほぼ同年代になってきたことから、この作品への共感が得られやすいのではないかということから『V』という作品が映画化にふさわしいと考えられたのだろう。

多くのファンにとっては“誰を嫁にするか”論争で熱くなりがちな『V 天空の花嫁』ではあるが、昨今結婚しづらい世の中だからこそ、いまあらためて“家族の絆”“未来への希望”をテーマにした作品であることを再認識して『ユア・ストーリー』の公開を楽しみにしてほしい。

文/畑史進

公開情報
『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』

少年リュカは父パパスと旅を続けていた。その目的は、ゲマ率いる魔物たちに連れ去られた母を取り戻すこと。旅の道中、ついにゲマと遭遇し、魔物たちと激しい戦いを繰り広げるパパス。しかし一瞬のスキをつかれ、リュカが人質にとられてしまい、手出しができなくなったパパスは、リュカの目の前で無念の死を遂げる――。それから10年。故郷に戻ったリュカは「天空のつるぎと勇者を探し出せば、母を救うことができる」というパパスの日記を発見する。父の遺志を受け継ぎ、リュカは再び冒険の旅に出ることに。立ちはだかるいくつもの試練、そしてビアンカとフローラ、2人の女性を巡る究極の選択。果たして冒険の先に待ち受けるものとは――。
原作・監修:堀井雄二
総監督・脚本:山崎貴
監督:八木竜一・花房真
音楽:すぎやまこういち
声の出演:佐藤健 有村架純 波瑠 坂口健太郎 山田孝之 ケンドーコバヤシ 安田顕 古田新太 松尾スズキ 山寺宏一 井浦新 賀来千香子 吉田鋼太郎
配給:東宝
2019年8月2日(金)公開
©2019「DRAGON QUEST YOUR STORY」製作委員会
©1992 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SPIKE CHUNSOFT/SQUARE ENIX All Rights Reserved.
公式サイト:https://dq-movie.com/

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