ディズニー映画はもちろん、オリジナルコンテンツも充実していることから世界で注目されている定額制公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」。2020年6月11日から日本でもサービスが開始となったが、所有する作品は、ディズニー、ピクサー、マーベル、スター・ウォーズ、ナショナル ジオグラフィック、更には7月3日からはブルードウェイ・ミュージカル『ハミルトン』が世界同日配信スタート、とラインナップもバラエティに富んでいる。
なかでもスター・ウォーズ初の実写ドラマ『マンダロリアン』は、『アイアンマン』の監督ジョン・ファヴローが脚本と制作総指揮を務める力作で、シーズン1からキャラクター商品が発売されるなど、すでに世界的に熱狂的な人気を博している。その動画配信サービスだけで、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の世界観を一気に堪能でき、アニメーションから実写まで、ディズニーそのものの世界観を味わえるのだから、人気キャラクターを生み出したディズニーだからこそ実現できる映像ビジネスなのだ。
そんなディズニーが、20世紀フォックスを買収したことで、それまで20世紀フォックス・アニメーションの傘下だったブルースカイ・スタジオ制作のアニメがディズニープラスでも今後見られるようになった。更に今回は新型コロナウィルスの感染拡大防止、及び観客の安全を考慮し、劇場公開せずに配信でのお披露目となる。
男女問わず子供に安心して見せられるスパイアクションが登場
ディズニープラスで7月10日(金)より独占公開となる『スパイ in デンジャー』だが、やはり幅広い年齢をターゲットとしたディズニープラスでのアニメーションならば、子供に安心して見せられる映画であってほしい。その点を踏まえ、この映画は子供に夢と希望と冒険を与えてくれる最高級の配慮がなされたスパイアクションだ。
まず企画段階から参加したウィル・スミスの存在は欠かせない。子供にも見せられるスパイアニメ作りを意識した本作は、声だけでなく容姿でウィル・スミスだと分かる世界最強のスパイ“ランス”の武器が、「ネコのキラキララメ」という爆発物だったり、ユニコーンのぬいぐるみに搭載した「膨らむハグ」だったりと、女の子の“好き”も詰まったスパイグッズが揃っている。
それを発明しているのが、トム・ホランドがボイスキャストを務める変わり者の発明家“ウォルター”であり、彼は平和的解決をモットーにスパイグッズを発明し続けていて、人間を平和の象徴である“鳩”に変身させるという驚異の発想を持っている。短編アニメーション映画『Pigeon Impossible』からインスピレーションを受けて生まれた本作だが、スパイアクションに動物を活躍させたり、随所に子供が飽きない設定を思いつく製作陣に脱帽だ。監督はトロイ・クエイン、ニック・ブルーノという本作で監督デビューの二人。
しかも、さえない青年が実は世界を救うというピーター・パーカー的成長を遂げるウォルターに声を通して命を吹き込むのがスパイダーマン俳優トム・ホランドというのがこの映画のもう一つのメッセージだ。そこには「変人」という言葉をネガティブに捉えず、逆に「人が持っていない才能」というポジティブな発想への転換を映画から伝える、まさに全てにおいての“平和”的アプローチがなされている。
スパイ映画の伝統を守り抜いた手を抜かないアニメーション
しかし、大人がしっかり楽しめるアニメーションとしても成立している本作。その理由は製作陣がスパイ映画を研究し尽くしたであろう遊び心とリスペクトが端々に散りばめられているからだ。まずは、『007』のようなオープニングロールに始まり、日本の岩手県、スパイ組織の本部となるワシントンD.C.、メキシコ、イタリアのベネチア、アドリア海、北海と、スパイ映画特有の世界各国を所狭しと駆け巡る世界観であり、ウォルターが大好きなテレビ番組が韓国メロドラマという設定は女性が気付きやすい遊び心ある演出。
ランスの愛車にはアウディとのコラボレーションにより誕生したバーチャルモデル、RSQ e-TRON。もちろんスパイアクションお約束の、街中でのカーアクションはカメラワークも迫力があり実写顔負けだ。しかもさすが『アイス・エイジ』のブルースカイ・スタジオだけあり、視覚的な笑いにも力を抜かない。カーペンターズの『Close To You(遙かなる影)』を挿入したりしながら、サウンドトラックにはTWICE(『KNOCK KNOCK』)まで参加という、耳でも楽しめる娯楽エンタテインメントになっている。まさに老若男女、全方向から様々な“面白み”を探れる凄腕チームの作品が誕生した。
文 / 伊藤さとり(映画パーソナリティ)
ウィル・スミス×トム・ホランドが個性的なコンビを演じる!世界最強のクールなスパイ、ランス・スターリング役には、本作のストーリーやキャラクター設定など、企画段階から参加したウィル・スミス。まさにウィルをそのまま映画の世界へ投影したようなランスのキャラクターをコミカルに演じる。そんなランスとタッグを組むこととなる若き発明家、ウォルター役には、『アベンジャーズ/エンドゲーム』などで、人気のヒーロー スパイダーマンを演じた若手人気俳優トム・ホランド。日本のシーンやマシ・オカが演じる日本人キャラクターも登場。
原題:『Spies In Disguise』
監督:トロイ・クエイン、ニック・ブルーノ
出演:ランス・スターリング役:ウィル・スミス / ウォルター・ベケット役:トム・ホランド
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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7月10日(金)よりディズニープラスで配信
ディズニープラス公式サイト :https://disneyplus.jp/