Jan 14, 2018 column

永井豪の『デビルマン』『マジンガーZ』が大復活! 天才漫画家が描いた世界と新作アニメはどう違う?

A A
SHARE

©永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

世界のSFシーンに影響を与えた鋼鉄の魔神

永井豪作品の中で、『デビルマン』以上に広く、世界で愛されているのが72年〜74年にテレビアニメ化された『マジンガーZ』だ。主人公・兜甲児が祖父の遺した巨大ロボットに乗り込み、悪の軍団と戦うという設定はシンプルで分かりやすく、「超合金マジンガーZ」をはじめとするキャラクターグッズも大ヒットした。少年が巨大ロボットに乗り込むという設定は、『機動戦士ガンダム』(79年〜80年)や『新世紀エヴァンゲリヲン』(95年〜96年)などに受け継がれ、日本のSFアニメの王道路線となっていく。『マジンガーZ』、さらには続編『グレートマジンガー』(74年〜75年)や『UFOロボ グレンダイザー』(75年〜77年)は海外でもテレビ放映され、フランスやスペインでは記録的な高視聴率を残した。ギレルモ・デル・トロ監督のハリウッド大作『パシフィック・リム』(13年)も、『マジンガーZ』がなかったら誕生していなかったに違いない。

©永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

そんな人気キャラクターを現代に甦らせたのが、1月13日(土)から公開が始まった『劇場版マジンガーZ / INFINITY』。光子力エネルギーで稼働するマジンガーZを操縦する兜甲児と機械獣を操る悪の科学者Dr.ヘルとの戦いから10年後の世界が描かれることになる。平和な時代となり、科学者となった兜甲児だが、富士山の地下から巨大遺跡が発見され、この遺跡の隠された力を狙ってDr.ヘルが復活を遂げたことから、兜甲児もまた戦うことを余儀なくされていく。

©永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会

デビルマンが人間でも悪魔でもない存在であるように、マジンガーZもパイロットの意思次第によって“神の力”にも“悪の力”にもなりうるという永井豪ならではの共通する世界観となっている。人類が滅亡の危機に瀕するハルマゲドン(最終戦争)がクライマックスとして描かれるのも永井豪作品らしい。監督は劇場版『ONE PIECE』『プリキュア』シリーズの志水淳児、脚本は漫画原作者としても活躍する小沢高広(うめ)が手掛けている。CGアニメ対応となったマジンガーZの新デザインも大きな見どころだ。

公開時期は2018年としか発表されていないが、変身機能を持つセクシーな女性型アンドロイドが活躍する『キューティーハニー』の新作アニメ『Cutie Honey Universe』も製作が進んでいる。永井豪が生み出したキャラクターたちの生命力の強さには驚くばかりである。永井豪作品の革新的世界に、時代がようやく追いつきつつあるのかもしれない。

取材・文 / 長野辰次

作品情報

『DEVILMAN crybaby』

原作:永井豪 監督:湯浅政明 脚本:大河内一楼 音楽:牛尾憲輔 声の出演:内山昂輝 村瀬歩 潘めぐみ 小清水亜美 田中敦子 小山力也 津田健次郎 KEN THE 390 木村昴 YOUNG DAIS 般若 AFRA 主題歌:「MAN HUMAN」電気グルーヴ(Ki/oon Music) 特別エンディング:「今夜だけ」卓球と旅人(Ki/oon Music) 2017年1月5日(金)よりNetflixにて世界同時配信 (c)Go Nagai-Devilman Crybaby Project 公式サイト:http://devilman-crybaby.com/

映画『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』

原作:永井 豪 監督:志水淳児 声の出演:森久保祥太郎 茅野愛衣 上坂すみれ 関 俊彦 小清水亜美 花江夏樹 高木 渉 山口勝平 菊池正美 森田順平 島田 敏 塩屋浩三 田所あずさ 伊藤美来 朴璐美 藤原啓治 石塚運昇 石丸博也 松島みのり/おかずクラブ(オカリナ・ゆいP)/宮迫博之 オープニングテーマ:「マジンガーZ」水木一郎 エンディングテーマ:「The Last Letter」吉川晃司 配給:東映 2018年1月13日(土)全国ロードショー ©永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会 公式サイト:mazinger-z.jp

原作本紹介

「デビルマン」

1972年に週刊少年マガジン(講談社)にて連載が開始された永井豪による漫画作品。単行本発行部数は累計5,000万部。連載と同年にテレビアニメ化され、NET(現テレビ朝日)系列で放送された。漫画では神や悪魔といった存在を通して、人間とは?という大きな問いを投げかける作品となっている。漫画家やアーティスト、クリエイターからも影響を受けた作品としてあげられることが多く、これまでテレビアニメのみならずOVA、実写作品など多数製作されている。

「マジンガーZ」

1972年に漫画家・永井豪によって「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載された漫画作品。搭乗型巨大ロボットの祖となる作品で、多彩な武器と圧倒的な強さを誇る 「マジンガーZ」の迫力と存在感、主人公「兜甲児」をはじめとする個性的なキャラクターなど、永井豪の魅力がつまった作品。連載当時、爆発的な人気を博し国内のみならずアジア、ヨーロッパ各地で多数のファンを獲得し、今もなお熱狂的なファンが多く存在する作品。