Jul 26, 2024 column

不謹慎、だがド直球『デッドプール&ウルヴァリン』夢の共演をつないだ男たちの友情

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おしゃべりな傭兵デッドプールと、いつもシリアスで怒ると恐いウルヴァリン。混ぜるな危険、まさに水と油のスーパーヒーロー・コンビが、とうとう夢の本格共演だ。

公開中の映画『デッドプール&ウルヴァリン』では、旧20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)製作『X-MEN』『デッドプール』シリーズの人気ヒーローふたりが待望のチームアップ、しかもマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)への参戦を果たした。「ネタバレ絶対禁止」の話題作、その魅力の一部をのぞいてみよう。

デッドプール、奇跡のMCU合流

そもそも、デッドプールというスーパーヒーローはハリウッドにおいて数奇な運命をたどってきた。『X-MEN』シリーズ、ヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンの単独映画『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(2009)で初めて実写化され、ライアン・レイノルズが演じたが、“おしゃべりな傭兵”にもかかわらず口を縫われ、コミックとはかけ離れた姿での登場となったのだ。

その後、20世紀フォックスはデッドプールの単独映画を始動させるが、「暴力描写満載のR指定コミック映画」というコンセプトに難色を示し、なかなか企画は前進しなかった。シリーズ第1作『デッドプール』(2016)が実現したのは、なんとテスト映像がオンラインに流出し、コミックファンから熱い反応が寄せられたからなのだ。

『デッドプール』はアメリカで公開されるやオープニング興行収入1億3,243万ドルを記録、全世界興行収入は7億8,261万ドルという大ヒットとなった。これを受けて製作された『デッドプール2』(2018)ではジョシュ・ブローリン演じるケーブルが初登場し、やはり華々しい成績となっている。

ところが翌2019年、20世紀フォックスはウォルト・ディズニー・カンパニーによって買収されることになった。これを受け、デッドプールの映像化権はマーベル・シネマティック・ユニバースを手がけるマーベル・スタジオのもとに移り、映画『デッドプール』シリーズの今後はいったん不透明となってしまったのだ。これが、シリーズの第3作である『デッドプール&ウルヴァリン』までに6年を費やした大きな理由のひとつである。

そもそも、デッドプールがそのままの姿でMCUへの移籍を果たしたことは一種の奇跡だった。マーベル・スタジオがデッドプール役にレイノルズの続投を認めない可能性もあれば、ディズニーがR指定のMCU映画を許さない可能性もあったのだ。同じ20世紀フォックス製作の『X-MEN』『ファンタスティック・フォー』シリーズと同様、MCU版としてのリブート企画が立ち上がる可能性もあっただろう。

ディズニーの買収劇を受け、現実的に20世紀フォックスのマーベル映画に登場したキャラクターたちの復帰はほぼ絶望的になった。『X-MEN』シリーズでパトリック・スチュワートが演じたチャールズ・エグゼビアは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』(2022)にわずかに登場したが、これは一種のお楽しみ。“マーベル映画のMCU一本化”により、レイノルズ演じるデッドプールを除く、20世紀フォックス時代のスーパーヒーローたちは、ほとんどがマルチバースの裂け目に吸い込まれていった。