2023年9月29日、全米でバズりまくった映画『コカイン・ベア』が日本に出没した。
本作は、アメリカ本国でソーシャルメディアを中心に話題となり、スーパーボウルで流された予告映像がTwitterでトレンド入り、予告映像の総再生数6600万回越えし、まさかの全米初登場2位の大ヒットを記録した、前代未聞のワイルド・パニック・アドンベンチャーだ。
映画タイトルを聞いただけで、ワクワクして期待しか覚えないの本作をバカ真面目に考察したい。
これは本当にあったマジ話
本編に”Base on true event.”とあるように、これは事実に基づく話。
1985年9月11日午前1時ごろ、麻薬密売人のアンドリュー・カーター・ソートン2世は、コロンビア産コカイン400kg、末端価格で少なくとも1400万ドルをテネシー州ノックスビルへ運ぶためセスナ機を操縦していた。
“コカイン・カーボーイ”と呼ばれていたソートンの手口はこうだ。国境の南側からコカインを飛行機で運び、米国南東部の荒野に投下して、後で仲間と共に回収するというもの。
この日ソートンは、フロリダで米国領空に入った際FBIの尾行に気づき、30kg前後のコカインを3つのダッフルバックに分けて上空から投げ捨てた。違法なブツは、ジョージア州北部のチャーターフーチー国有林に落ちる算段だった。追いかけるように、スカイダイビングを試みたソートンだが、テネシー州ノックスビルの住宅街の砂利道に落下し、即死した。
その4ヶ月後。投げ捨てたコカインを食べたと思われるクマが発見される。
死体を解剖すると、脳出血、高熱、呼吸不全、腎不全、心不全を併発して倒れたことが判明。
体重80kgほどのクマの胃には、15kg以上のコカインでいっぱい。血中のコカイン濃度は、同じ体重の人間における致死量の2倍ほど検出された。
現場となったチャーターフーチーの荒野で発見されたダッフルバックは、荒らされており、入っていたコカイン40包はすべてなくなっていた‥‥。
映画本編は、この事実をなぞるように始まる。そう元ネタは本当にあったやヤバい話。この事実から着想を得て、”クマが薬物の過剰摂取で死ぬだけ気が滅入るから、大勢の人間を殺すことにした”というフィクションが『コカイン・ベア』だ。
事実に基づき、舞台はチャーターフーチーのブラッド山。そこには、コカインを回収しようとするギャング、それを阻止しようとする警察、そこに関わる地元のチンピラに、学校をサボって滝に向かう子どもたち、彼らを探す母親と、森林公園のレンジャーたちと、バラエティー豊かな面々が一同に会す。
いままで、なんの接点を持たなかった者たちそれぞれの思惑が絡んで、事態はどんどん面倒なことになっていく。
そして彼らに突如襲い掛かるのは、コカインを食ってハイになったクマだから、さあ大変。一体誰が生き残るのか‥‥。