May 02, 2025 column

特集:2025年1~3月期 話題となった映画 [洋画編]

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2025年に上映された作品を振り返ってみれば名作ばかり。ここではゴールデングローブ賞、アカデミー賞にパルムドール受賞と賞レースを賑わせた海外映画たちをピックアップしました。すでに配信されているものから、いまだ劇場を埋めるものまで、急いでチェック!

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“変人”とは誰か? キーラン・カルキンの演技に見る当事者意識の欠如

本作は、かつて兄弟同然に育ち、近年では疎遠になってしまった従兄弟のデヴィッドとベンジーが数年ぶりに再会し、亡くなった最愛の祖母を偲ぶため、彼女の故郷ポーランドを旅する姿を紡いだロードムービーである。

本作で主人公デヴィッドを演じるのは、『ソーシャル・ネットワーク』で俳優としてブレイクし、『僕らの世界が交わるまで』で監督デビューを果たしたジェシー・アイゼンバーグ。さらに彼は、監督、脚本、製作を務める。W主演として、デヴィッドの従兄弟であるベンジー役を「メディア王〜華麗なる一族〜」で2024年にゴールデングローブ賞、エミー賞をW受賞したキーラン・カルキンが演じる。

家族愛と葛藤を描いた本作の魅力もさることながら、その神がかった演技が絶賛され、先日、第82回ゴールデングローブ賞の授賞式で映画部門 助演男優賞を受賞したキーラン・カルキンは、なぜベンジー役にハマったかを中心に本作について語りたい。

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作品情報

[監督]ジェシー・アイゼンバーグ
[出演]ジェシー・アイゼンバーグ / キーラン・カルキン / ウィル・シャープ / ジェニファー・グレイ
[配給]ウォルト・ディズニー・ジャパン 
©2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

[公式サイト] real-pain

動画配信 Disney+ / PrimeVideo

アメリカの若者に大人気、壮大な“大ボラ”で描く創作者の受難

第二次世界大戦の終戦直後、ナチスドイツによるホロコーストを生き延びた男たちがアメリカにやってきた。ハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー・トートは、仲間とともにいよいよ念願を果たしたのだ。あとは、引き離されてしまった妻と姪を呼び寄せるだけ――。

映画『ブルータリスト』は、開幕の瞬間から観客を事件現場に放り込む。上映時間215分の大作は、30年以上にわたる歴史の“現場”を次々に目撃させるのだ。そうするうちに、ラースロー・トートという男の半生が、その苦しみと真の狙いが見えてくる。

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作品情報

[監督]ブラディ・コーベット
[出演]エイドリアン・ブロディ / フェリシティ・ジョーンズ / ガイ・ピアース / ジョー・アルウィン / ラフィー・キャシディ
[配給]パルコ ユニバーサル映画
© DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES © Universal Pictures

[公式サイト] universalpictures.jp/micro/the-brutalist

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 How Does It Feel ? 音楽は誰のもの ?

とてつもない傑作である。5年間のレッスンを受けボブ・ディラン役を演じたティモシー・シャラメは、これまでとは明らかに別次元の演技のフェーズに入っている。ジェームズ・マンゴールド監督とティモシー・シャラメによる待望の『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』には役を演じることによる生き方の発見、魂の共鳴の瞬間までもがフィルムに収められているように見える。演奏者と同じくらい音楽を聴く者(目撃する者)にカメラを向けているからそう見えるのだろうか。ボブ・ディランがどのような風景を見たのか。ボブ・ディランの前をどのような人が通り過ぎていったのか。ここには音楽の発見と誕生、そしてオーディエンスやミュージシャンへの作用のプロセスまでもが感動的に描かれている。

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作品情報

[監督]ジェームズ・マンゴールド
[出演]ティモシー・シャラメ / エドワード・ノートン、エル・ファニング / モニカ・バルバロ / ボイド・ホルブルック / ダン・フォグラー / ノーバート・レオ・バッツ / スクート・マクネイリー
[配給]ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2025 Searchlight Pictures.

[公式サイト] searchlightpictures.jp/movies/acompleteunknown

21世紀のアンチ・シンデレラ・ストーリー

2025年のアカデミー賞、作品賞、監督賞、主演俳優賞と3部門の受賞に輝いたのが、昨年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したインディペンデント映画『ANORA アノーラ』。インディ映画を作りつづけ、今年53歳となった監督ショーン・ベイカーは「僕の親の次に、キャリアを支えてくれた団体に感謝します。」とフィルム・インディペンデントに感謝。「この受賞は嬉しい。(途中略)しかし、自ら作りたいものを作るには平均3年は必要で、君たちが脚本家や監督でブレイクしようとしているなら、映画を無償で作ると思っていた方がいいほど、生活苦は覚悟しなくてはならない。僕には子供がいない。一生、インディ・ライファー(人生)でいると思うが、インディ映画制作がもっと持続可能な環境になってほしいと心から願う。」とハリウッドの若い作り手の切実な現状を語り、観客の声援を浴びていた。今回のコラムでは、常に自ら伝えたい物語を自ら脚本にして撮り続けるベイカー監督のど根性映画づくりの魅力をお伝えしたい。

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作品情報

[監督・脚本、編集]ショーン・ベイカー
[出演]:マイキー・マディソン / マーク・エイデルシュテイン / ユーラ・ボリゾフ / カレン・カラグリアン / ヴァチェ・トヴマシアン
[配給]ビターズ・エンド、ユニバーサル映画
©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved.  ©Universal Pictures

[公式サイト] anora

シンシア・エリヴォとアリアナ・グランデによる魔女への道、飛翔せよと魔女は言った

ハリウッドの本気のミュージカル映画の凄まじさよ。グリンダを演じるアリアナ・グランデは、全身を使って自身に向けられるカメラとダンスしているかのようだ。歌声の美しさだけでなく、ダンスのキレ、しなやかさで、次々と“ボディランゲージ”を発明していく姿に目が離せなくなる。指先、視線の動き、まつ毛の動きに至るまで、すべてがダンスとしてスクリーンに昇華されている。なによりエルファバを演じるシンシア・エリヴォとの歌唱的、演技的ハーモニーの素晴らしさ。かつて“ふたりの魔女”は、魔女になるためのインスピレーションを惜しみなく与えあっていた。

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作品情報

[監督]ジョン・M・チュウ
[原作]ミュージカル劇「ウィキッド」
[出演]シンシア・エリヴォ / アリアナ・グランデ / ジョナサン・ベイリー / イーサン・スレイター / ボーウェン・ヤン / ピーター・ディンクレイジ / ミシェル・ヨー / ジェフ・ゴールドブラム
[配給]東宝東和
© Universal Studios. All Rights Reserved.

[公式サイト] wicked-movie

勇敢、かつ一筋の希望が託された オスカー長編ドキュメンタリー受賞作品

本年度のアカデミー賞にノミネートされた日本人制作者の作品は長編ドキュメンタリー『Black Box Diaries』、短編ドキュメンタリー『Instruments of a Beating Heart』、そして短編アニメーション『あめだま』と、多数の分野で大健闘。各国からの選りすぐられた作品と並んで紹介されたアカデミー賞前の「Oscar Nominee Spotlights」(ノミネートされた映像作家にフォーカスを当てるアカデミー映画博物館のイベント)でも観客が大勢訪れ、映画への関心の高さが見受けられた。3作品とも受賞にはいたらなかったが、3部門それぞれで、受賞した映画は想像を絶する人間の苦悩とその苦しみの中で育まれた希望や友情を映像に託した作品が多く見応えがあった。このコラムでは、上記のアカデミー賞3部門に注目して、一人でも多くの人に観てもらいたいオスカー受賞、そしてノミネート作品を紹介したい。

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作品情報

[監督]バゼル・エイドラ / ユヴァル・アブラハム / ハムダーン・バラール / ラケル・ゾール
[配給]トランスフォーマー
©2024 ANTIPODE FILMS. YABAYAY MEDIA

[公式サイト] transformer.co.jp/m/nootherland

バチカンの闇を見つめたサスペンスである

本年度アカデミー賞において8部門にノミネートし、脚色賞を受賞した『教皇選挙』が3月20日に公開される。レイフ・ファインズ主演で描かれる本作は、前作 Netflix『西部戦線異状なし』でアカデミー賞作曲賞を受賞したエドワード・ベルガー監督の最新作である。次なる権力者が選ばれる中でうごめく思惑と図られる陰謀。カトリックの総本山で繰り広げられる政治闘争を舞台に我々の価値観を揺さぶってくる本作の魅力を語りたい。

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作品情報

[監督]エドワード・ベルガー
[原作]ロバート・ハリス著「CONCLAVE」
[出演]レイフ・ファインズ / スタンリー・トゥッチ / ジョン・リスゴー / イザベラ・ロッセリーニ
[配給]キノフィルムズ
© 2024 Conclave Distribution, LLC.

[公式サイト] cclv-movie