韓国エンターテインメント界で、ひょうひょうとマイペースを貫き、作品の発表ごとに、国際映画祭の舞台で絶賛される映画作家ホン・サンス。
確固たる巨匠の地位を確立した映画作家ホン・サンス監督の長編27作目となる最新作となる『小説家の映画』は、女性アーティスト同士の幸福なめぐり合いを描いた、友愛と連帯の物語。
本作は 2022 年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員大賞)を受賞し、ベルリンでは『夜の浜辺でひとり』(主演女優賞)、『逃げた女』(監督賞)、『イントロダクション』(脚本賞)に続き、ホン監督にとって3年連続4度目の受賞を果たす快挙となった。
執筆から遠ざかった小説家ジュニと一線から退いた女優ギルスは、偶然の出会いを通じてたちまち惹かれ合い、ジュニはギルスを主役に映画を撮りたいと持ち掛ける。主人公のふたりをはじめ、彼女たちの行く手に現れるのは、創作活動に行き詰まったり、何かに挫折した女性たち。アーティスト、表現者として成功を収めながらも、共に人知れず迷いを抱えたふたりの女性が偶然の出会いを通して、人生の新たな可能性に向かって共に歩み出していく姿を映し出す。
主演を務めるのは、映倫R18区分指定作品ながら日本でも大ヒットした衝撃作『お嬢さん』(パク・チャヌク監督作/2016)で世界を魅了し、『正しい日 間違えた日』(2015)でホン・サンス監督作に初出演以降7作品に出演、ホン監督の前作『あなたの顔の前に』(2021)ではプロダクション・マネージャーを担当し、本作で『逃げた女』(2020)以来の主演女優として復帰したホン監督の公私にわたるパートナー、キム・ミニ。
そして、巨匠イ・マンヒの娘として生まれ、イム・グォンテク監督をはじめ多くの巨匠たちの映画に出演し、初めてホン監督の作品に出演し主演を飾った前作『あなたの顔の前に』で百想芸術大賞女性最優秀演技賞(映画部門)を受賞するなど、ホン監督作の新たな“顔”として国内外で絶賛を博した大ベテラン女優イ・ヘヨン。この韓国を代表する2人の女優のダブル主演となる。
ホン監督は本作のキャスティングについて、「まず最初にキム・ミニを主役にしようと決めました。それからこの前の映画(『あなたの顔の前に』)で一緒に仕事をしたイ・へヨンに出演してもらうことに決めました。」と語る。
また映画を構想する際、俳優と舞台を最初に設定するというホン監督の特異な制作過程は本作でも健在で、「キャスティングは映画作りで最も重要なことかもしれません。今回はイ・へヨンに会って、小説家が自分の映画を作る、というアイデアを着想しました。人と会い、その人から印象を受け取り、それに刺激され想像力とアイデアを働かせて映画を作っていくのです。」と制作秘話を明かした。
イ・ヘヨンとの初共演について、キム・ミニは「イ・へヨンとの仕事は俳優としてはこれが初めてでしたが、彼女が主演した『あなたの顔の前に』で私はプロダクション・マネージャーを務めています。ホン・サンスと仕事する俳優たちは、自分がどのような人物を演じることになるのかと大いに期待しています。小さな撮影チームですが、だからこそみんなで協力しあって、リラックスした雰囲気の中で撮影します。イ・へヨンはまわりにとても居心地の良い雰囲気を作り出す人で、一緒の仕事は素晴らしかったです。この映画は人間関係についての映画ですが、それについて彼女からたくさんのことを学びました」と語った。
映画『小説家の映画』は6月30日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー。
長らく執筆から遠ざかっている著名作家のジュニが、音信不通になっていた後輩を訪ね、ソウルから離れた旅先で偶然出会ったのは、第一線を退いた人気女優のギルス。初対面ながらギルスに興味を持ったジュニは、彼女を主役に短編映画を撮りたい、と予想外の提案を持ち掛ける。かつて名声を得ながらも内に葛藤を抱えたふたりの思いがけないコラボレーションの行方は‥‥。
監督・脚本・製作・撮影・編集・音楽:ホン・サンス
出演:イ・へヨン、キム・ミニ、ソ・ヨンファ、パク・ミソ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク、キ・ジュボン、イ・ユンミ、キム・シハ
配給:ミモザフィルムズ
© 2022 JEONWONSA FILM CO. ALL RIGHTS RESERVED
2023年6月30日(金) 全国順次公開