2009年の公開からカルト的人気を誇るホラー映画『エスター』の前日譚、『エスター ファースト・キル』が公開された。
ある家族に孤児院から養子として引き取られた美少女エスターが巻き起こす惨劇を描いた前作。続編である本作では、いかにしてエスターはエスターとなったのか、その誕生の瞬間が描かれる。
2007年、アメリカで暮らすオルブライト家は、4年前に6歳で行方不明となった愛娘エスターの失踪事件に今なお心を痛めていた。そんなある日、エスターが保護されたという知らせが届く。ピアノを弾きこなし画才もあるエスターの成長に驚く一家だったが実は彼女、失踪した娘とはまったくの別人。彼女の本当の名はリーナ・クラマー、凶暴性を秘めた少女の姿をしたサイコパスだったのだ。
日本でも大反響を呼び起こした『エスター』から14年。ただでさえ注目が集まるファン待望の続編が公開されたなか、最も話題となっているのが当時10歳でエスターを演じたイザベル・ファーマンが23歳(本作撮影時)にして子役を再演している点だ。
本作を鑑賞したファンは、CGを多用することなく、衣装やメイクアップ、遠近法やボディダブルといった昔ながらの映画のマジックを駆使した映像にも驚くが、前作同様、圧倒的な狂気を魅せてくれるエスターにもびっくりすることだろう。
同じ役柄の再演、しかも子どもを大人が演じる難しさ。そしてホラー映画史に名を刻む偉大なキャラクターについて、イザベル本人に伺った。
いまエスターを再演する理由
―― 大人になったいま、10年以上経ってなぜエスターを再び演じようと思ったのですか?
前作『エスター』の脚本を担当したデヴィッド・レスリー・ジョンソンに連絡をして、エスターの続編を作らないかと私の方から提案しました。
『エスター』はカルト的人気があって、今でも人々の間で語り継がれています。それに加えて、映画やテレビドラマの過去作のリバイバルが流行していることもありますが、なにより「まだエスターすべてのストーリーを伝えてきれていない」と感じていたので、キャラクターを再び生き返らせたいと思い、この企画を始めました。ですから、この作品にはプロデューサーとして企画の段階から関わっています。
前作当時は、子どもとして女性を演じていましたが、今作は逆に、女性として子どもを演じるということにも面白みを感じました。
―― 実際演じてみて昔と今で違うと感じた部分はどこですか?
まずアプローチですね。ファンは、前作が終わってから自分なりにエスターを理解していったと思います。エスターが何を求めていたかを考えると、やっぱり愛情なんですね。暗くて歪んだ性格ですが、彼女は究極に愛を求めていた女の子でした。
今回、どのようにエスターという女の子を見せていこうかと監督やプロデューサー、脚本家と話し合った結果、『エスター ファースト・キル』では、エスターを応援したくなるような描き方をしようということになりました。
そのために、エスターを理解し愛さなければいけない。彼女の欠点もすべてふくめて好きにならなければならないと思いました。さらには、ファンが知らない側面を見せたいとも考えるようにもなりました。
10年前は、まだ子どもだったので難しいことでしたが、現在、大人の女性になってより明確に観客に示すことができたかなと感じています。