Oct 21, 2022 interview

清原果耶インタビュー 『線は、僕を描く』の現場で感じた温かく柔らかい変化

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2020年「本屋大賞」3位、2019年TBS「王様のブランチ」BOOK大賞を受賞した青春芸術小説「線は、僕を描く」(砥上裕將著/講談社文庫)。全国の書店員から絶賛される本作が、この度実写映画化され10月21日に公開される。

『ちはやふる』を青春映画の金字塔に仕立て上げた小泉徳宏監督を筆頭にした製作チームが再結集。主演は『愛唄 -約束のナクヒト-』(2019)他作品で、第43回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した横浜流星。

横浜と同じく「水墨画」に思い悩む美少女を演じるのは、朝ドラ女優・清原果耶だ。今回、見事な筆さばきを披露している彼女に、現場での苦労とともに、ヒロインを演じることとは何かなどをうかがった。

二十歳になりました

―― 『愛唄 ー約束のナクヒトー』(2019)以来の横浜さんとの共演だと思いますが、お互いに変化や、成長したなみたいな話はありましたか?

流星くん、背中がおっきくなってました(笑)。この数年で様々な現場を踏まれていて、いろいろ吸収してこられたんだな、っていう印象がとっても強くて。でも、人としての真っ直ぐさとか、誠実さとか、ストイックな部分は、相変わらずで素晴らしいなと思いました。

―― 千瑛役が決まった際、主演が横浜さんで、ライバルという間柄になることを知ったときに、再共演ついてどのように感じましたか?

ライバルなのかなぁ? 同じ悩みを抱えている者同士という印象が、私はとても強くて。その2人がどう向き合って、どう刺激しあって生きていくか?みたいなところが、重要だと思っていました。

ーー では、ライバルというより、同じ悩みを共有する仲間みたいな関係ですかね?

まったく同じではないんですけど、それぞれに過去にトラウマや、悩んでることがあって、水墨画という場所で繋がって2人とも強くなっていくので、私が千瑛を演じるにあたって、霜介だけじゃなく流星くんに対しても、何か力になれる部分があったらいいなと思っていました。

―― 清原さん、素敵なレディーですね。

流星くんにもプロデューサーの北島さんにも言われました、「大人になったねー」って(笑)。みんなに凄い言われたので。“あ、二十歳になりました(笑)”ってお伝えしました。

初共演の優しさにふれて

―― 江口さん三浦さんとは初共演ですよね? なにかエピソードあれば教えてください。

江口さんは、本当、男気溢れる兄貴のような方で、太陽のように現場を温かく見守って、鼓舞してくださいました。あるとき江口さんに、自分で豆を挽いてドリップしたコーヒーが飲みたいんです、ってお話したんです。そしたら、次の撮影のときに「俺、これ愛用してるんだよ」って、ドリップコーヒーのセット一式プレゼントしてくださいました。

―― かっこいい‥‥。

かっこいいですよね!? 「俺はもっと大きいのを使ってるんだけど、果耶ちゃんは一人暮らしだから、1、2杯用にしたから!よかったら使って!!」って。しかも江口さんのこだわりが詰まっている道具らしくて、全部説明してくださいました。“現場の合間に、少ししか話していないのに、こんなことしてくださるんだ、優しい!”と思いました。

―― みんなが想像するとおりのあんちゃんで嬉しいです。お祖父さん役の三浦さんはどうでしたか?

三浦さんも初共演で、水墨画の先生であり、お祖父さんでもあるといいう難しい距離感の設定でした。なのでとりあえず、三浦さんが、どんな方なのか、何かお話させていただきたいなと思ったんです。それで休憩時間に勇気を出して隣に座りに行ったんですね。

隣で様子をうかがっていたら、三浦さんから「小泉監督と一緒にやったみたいだけど、どうだった?」って話しかけてくださったんです。“え!? 私が監督と一緒にやったって映画を知ってくださっている、すごっ!! ”と思って。

―― 『ちはやふる』の出演を調べていてくれて、かつ、聞いてくれたんですね。

優しいですよね。私が現場でうまくいかない日があったときも、「そんなこともあるよ」って励ましてくださって、懐が大きくて、温かい方だなと思いました。