Oct 14, 2022 news

いとうせいこう「そんな運命ありかよ」愛されたマルチアーティスト特集上映開催!『ピエール・エテックス レトロスペクティブ』

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ジャック・タチ作品に大きな貢献を果たし、映画監督や俳優として活躍したフランスの才人ピエール・エテックスの特集上映「ピエール・エテックス レトロスペクティブ」が12月24日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次開催決定。この度、予告映像&ポスタービジュアルが公開された。

映画監督、俳優、イラストレーター、道化師など、数え尽くせぬ顔をもつフランスのマルチアーティスト ピエール・エテックス。イラストレーターとして活躍していた20代半ばにジャック・タチと運命的な出会いを果たし、『ぼくの伯父さん』(58)の助監督として映画界に参入、ポスターのイラストを描いたことでも有名。

その後、のちにルイス・ブニュエル作品などの脚本家となるジャン=クロード・カリエールと共に映画制作を開始。短編2作目『幸福な結婚記念日』でアカデミー賞最優秀短編実写映画賞を受賞し、長編作品に取りかかる。緻密な構想と見事な演出、そして無声喜劇へのオマージュに溢れた作品群を世に送り出した。一方で俳優としても活躍し、ロベール・ブレッソン『スリ』、ルイ・マル『パリの大泥棒』、オタール・イオセリアーニ『皆さま、ごきげんよう』など数多くの作品に出演した。

権利問題が理由で長く劇場で上映されず、またソフト化もされていなかったが、ジャン=リュック・ゴダールやレオス・カラックス、ミシェル・ゴンドリー、デヴィッド・リンチなどの映画人を含む5万人以上の人々が署名活動に協力し、2010年に監督作品の上映権が復活。エテックス監修のもとデジタル修復を施された作品は、世界各国で再び上映することが可能となり、この10年でエテックスの再評価は格段に進んだ。

今回の特集では、ルイ・デリュック賞を受賞した初長編『恋する男』、トリュフォーが絶賛し、ゴダールがその年のベストテンに選出した代表作『ヨーヨー』、混沌と不条理に満ちた4編のオムニバス『健康でさえあれば』、中年男性の恋と妄想を夢幻的に描く初のカラー長編『大恋愛』の長編4作品と、『破局』、アカデミー賞受賞作『幸福な結婚記念日』、『絶好調』の短編3作品の計7作品が一挙公開。『恋する男』を除く6作品が、このたび劇場正式初公開となる。

作家/クリエイターのいとうせいこうは、「ジャック・タチを愛し、おかげでゴダールやカラックスやデヴィッド・リンチに愛される。そんな運命ありかよ、ピエール・エテックス!作品は確かにタチ・タッチを引き継ぎながらも、タチの冷たい狂気からは逃れていて、その“モテ”感にほっこり。」とコメント。