日本中の誰もが知るあの“さかなクン”の半生を、主演・のん×監督・沖田修一がユーモアたっぷりに描く、沖田作品の集大成とも言える映画『さかなのこ』。
この度、あまりにもキャラが濃すぎる、地元の“クセつよ”なヤンキーたちが港で喧嘩をはじめる本編シーン&わちゃわちゃな抗争シーンを収めたメイキング映像が公開された。
子供の頃からお魚が大好きなミー坊(のん)や、総長(磯村勇斗)率いるツッパリ集団を挑発するため、ミー坊がシメたばかりのお魚の頭を、眩しいほどに真っ赤な革靴のかかとで無残にも!?思い切り踏みつぶす他校の不良・カミソリ籾(もみ)(岡山天音)‥‥。
「ここらの魚はうちらのモノなんだよ」とドヤ顔で謎理論をかまされたミー坊は怒り心頭で「お魚さんが可哀そうだと思わないの!?君には心がないの!?」と詰め寄ると総長も「こんなの死への冒涜だ!」と続き、「お前らが殺したくせに」「殺したんじゃない、シメたんだよ!」と着地点が気になるラリーを経ながら「お魚さんへ謝れ!土下座しろ不細工!!」とヒートアップ。なかなかむごいことを口走っている気がしながらも、沖田監督の演出と俳優陣の演技とがばっちり融合し、コミカルでどこか平和な雰囲気が漂う素敵な喧嘩シーンとなっている。
メイキング映像では、ミー坊が天然記念物のカブトガニを盾に果敢にヤンキーへ立ち向かっていく様子や、磯村率いる“総長チーム”と岡山率いる“カミソリ籾チーム”がカチンコ片手にカメラ前に集結する、舞台裏の仲睦まじい姿も伝わってくる。
先日行われた完成報告上映会で、磯村が「今回は“かわいいおバカさんたち”という言葉が似合うような不良たちで、沖田さんの作品なので不良たちにもどこかクスっと笑えるところがあります。どうにか沖田さんに気に入られようと皆あれやこれやと自分の武器で勝負しているんですが、だんだん尽きてくると、お互いに裏で、次はアレするか‥‥これ沖田さんにハマるかな‥‥とめちゃくちゃ話して大喜利大会のようなものがはじまっていました(笑)。いいシーンにしたいプレッシャーもあったんですが、実はけっこう壮絶な現場になっていました」と明かしたように、実力派俳優陣があの手この手で奮闘していたそうで、その結晶のひとつがまさにこのシーン。のんも「普通のヤンキーにはしない演出を沖田監督がかけていて、わたしも頑張らなきゃ!と思った(笑)」と刺激を受けて堂々と張り合ったという。
また先日、レトロポップな本作の世界観をより一層際立たせ、ちょっとおふざけも織り交ぜた、特別映像も公開された。本作の撮影は、実は全編16mmフィルムで行われており、その独特の質感は、優しく前向きな物語と相まって、ある世代にとっては懐かしく、ある世代にとっては新しい、特別な鑑賞後感を私たちに与えてくれる。
丘の向こうから人間を超越したミラクルな生き物が立ち上がるオープニング、極太筆字の題字、ストップモーションと共にカメラが俳優に寄り名前と役柄がこれでもかと打ち寄せたあとは、2分割の画面で活き活きといちばん良い顔をお披露目、と、息継ぎの間もなく往年の日本映画やドラマに見られた伝統的手法が満載。実際に16mmフィルムで撮影された本編の魅力を伝えるため、今回の映像のみ強めに強調されたザラッとしたアナログ感も見逃せないポイント。
こういった雰囲気のなかで青春時代を過ごした昭和世代が懐かしさを覚えるだけでなく、Z世代とも呼ばれる若者の間でも昭和や平成のカルチャーが新鮮さをもって受け入れられ長いブームを起こしており、老若男女問わずエモスイッチを呼び起こされる、心をくすぐる映像となっている。
お魚が大好きな小学生“ミー坊”は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。お魚を、毎日見つめて、毎日描いて、毎日食べて。他の子供と少し違うことを心配する父親とは対照的に、母親はミー坊を信じて応援し、背中を押し続けるのだった。高校生になり相変わらずお魚に夢中のミー坊は、町の不良ともなぜか仲良し、まるで何かの主人公のようにいつの間にか中心にいる。やがて1人暮らしを始めたミー坊は、思いがけない出会いや再会の中で、たくさんの人に愛されながら、ミー坊だけが進むことのできるただ一つの道にまっすぐに飛び込んで行く。
監督・脚本:沖田修一
原作:さかなクン「さかなクンの一魚一会 ~まいにち夢中な人生!~」(講談社刊)
主演:のん、柳楽優弥、夏帆、磯村勇斗、岡山天音、西村瑞季、宇野祥平、前原滉、鈴木拓、島崎遥香、賀屋壮也(かが屋)、朝倉あき、長谷川忍(シソンヌ)、豊原功補、さかなクン、三宅弘城、井川遥
制作・配給:東京テアトル
©︎ 2022「さかなのこ」製作委員会
2022年9月1日(木) TOHOシネマズ 日比谷 ほかにて全国公開
公式サイト sakananoko.jp/