東映70周年を記念する新作映画の企画発表会見が開催された。東映株式会社は1951年に創立。昨年、70周年を迎えた同社はこれまでに日本映画史に残る数多くの名作を世に贈り出してきた。50周年のタイミングで公開された『ホタル』(01)、60周年の際に前期、後期という形で発表・公開された『はやぶさ 遥かなる帰還』(12)、『北のカナリアたち』(12)は、今も色あせることのない不朽の名作となっている。
本会見の冒頭、東映株式会社代表取締役社長・手塚治氏より発表された作品タイトルは、映画『THE LEGEND & BUTTERFLY』(読み:レジェンド・アンド・バタフライ)。手塚氏は「この作品は間違いなく映画の神に選ばれる一本となると、私は自信を持って皆さんに紹介できます。」、「圧倒的な映像美で描く、壮大な規模の歴史ドラマでもあります。この作品、総製作費は20億円でございます。これは『東映が本気でございます』ということを申し上げておきたいと思います。」とコメント。
本作は“織田信長と濃姫”――激動の時代を生き抜いた“男と女”、その30年の軌跡を描いている。戦国時代、天下から“魔王”として恐れられた織田信長。歴史に燦然と輝くその武将としての歩みは多くの日本人が知る事実だが、一体どうしてそこまで激しく、非情に日本を制圧していくことができたのだろうか?その裏には、信長とその妻、濃姫との2人の物語があった。
そして、この節目の年を飾るに相応しい超豪華なキャスト・スタッフ陣がステージ上に登場。織田信長を演じるのは、日本のエンターテインメントのトップを走り続ける俳優・木村拓哉。時代劇初出演となった TV ドラマ「織田信長 天下を取ったバカ」(98/TBS)以来約25年ぶりに織田信長役を務め、“本能寺の変”に至るまでの激動の生涯を圧倒的存在感で魅せる。そして濃姫役には、名実ともに日本を代表する女優・綾瀬はるか。天下統一へと駆け上がる信長と対等に向き合い、臆さぬ物言いで時に信長を導いていく信長の妻を演じる。
脚本を手掛けたのは古沢良太。『コンフィデンスマン JP』シリーズなどで知られ、23年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の脚本も務める。監督は、『るろうに剣心』シリーズで世界を驚愕させ、アクションエンターテイメントの金字塔を打ち立てた大友啓史。
織田信長という大役を演じることが決まった時の心境を木村は「歴史上の人物には魅力のある方たちが沢山いるんですけど、自分は特に織田信長に惹かれる部分が多いです。たまたま、木村家の家紋と織田家の家紋が全く同じ、“織田木瓜”という家紋があって、幼少期、時代劇を後ろから覗き見していた時に『なんで自分の家紋が映っているんだろう』って不思議だったんです。そこから歴史を学んでいって、同じ家紋なんだと分かり親近感がありました。中には残虐的な行為もあるけど、その行為の根幹にあるものを、資料を見て知っていくうちにどんどん魅力を感じていきました。
こういった大作で彼(信長)を演じさせていただけて名誉ですし、今を生きる僕たちが当時実際に生きていた人たちを演じ、物語を作るうえで『当時の方たちに失礼のないような作品にしたいですね』と綾瀬さん、古沢さん、大友監督とも現場で話しました。彼を演じさせていただけるという、本当にこの上ない舞台を用意していただいたので、全力で演じさせていただきました」と本作で演じた織田信長との不思議な縁と、作品への強い決意を語った。
また、織田信長が生涯を終えた49歳と同じ年齢で、信長を演じると決まった時の気持ちを「“本能寺の変”のシーンを撮影している最中に、大友監督がずっとまじまじとこちらを見ているので、『どうしたんですか?』って言ったら、『いや、まさしく全く同じ歳の時に、同じ状況になったんだね』ということを仰っていただいたので、感慨深いところが多いですね。440年前の今日、その事件があったのでは、とされている今日この日に、皆さんにお伝えできるのは、何かを感じさせて、思わせてくれるようなタイミングになっているなと思います」と撮影当時を振り返った。
信長の妻・濃姫を演じた綾瀬は「今までに観たことのない信長と夫婦の物語が描かれているなと感じました。人間らしい部分がコミカルであったり、その時代に生きているふたりの生きざま、夫婦がひとつになっていく人生の描かれ方がとても素晴らしく、読み終わった時に心が持っていかれました」と脚本を読んだ時の心境を述懐。
脚本を執筆した古沢は「3年位前に、東映さんから『木村拓哉さんで信長の映画を作ることが悲願』と熱く語っていただき、どういう切り口が良いのかを考えました。中でも戦国時代の政略結婚というのは興味がありました。信長と濃姫の夫婦の物語として描けば、カリスマイメージがある信長の裏側を描けるのではないかというのがモチベーションとなりました。ヒロインには綾瀬はるかさんが決まって、監督が大友啓史さん。最高の座組になっているので、歴史劇としても、歴史に興味がない人でも夫婦の愛の物語として楽しんでもらえると思います」と完成度に自信を覗かせた。
監督を務めた大友も古沢の脚本を読んだ際に「プロットがある段階で古沢さんにお会いして想いを伝えたところ、1ヶ月後には第1稿が送られてきました。それを一気読みして、すぐプロデューサーに『初稿で撮れる作品は、初めてだよ!』と連絡した記憶があります。我々に創作の余地をきっちり残していただき、余白を与えていただいた。エンターテイメントにも溢れ、夫婦の物語として入り口は広いけど、最後の出口がものすごく深いところにたどり着けるんですよね。木村さんと綾瀬さんも生きているうちに撮りたいと思っていたので、この2人に加えて脚本でトドメを刺されたという感じです」と大絶賛。