東日本大震災と福島第一原発事故を経て、災害公営住宅で暮らすことになった99歳の母と、その息子夫婦の三年間を記録したドキュメンタリー映画『三角屋の交差点で』。このたび本作が全国順次公開されることが決定した。
本作の監督を務めたのは、2011年以降、福島をフィールドに映像制作を続けてきた山田徹。8年以上の制作期間を経て満を持しての劇場公開となる本作は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2025でのジャパン・プレミアを経て、第17回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバルのコンペティション部門にも正式出品。渋谷ユーロスペースで一夜限定開催された「山形ドキュメンタリー道場 in 東京」では満席を記録した。


本作が映し出すのは、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故で浪江町からの避難を余儀なくされたものの、それから7年たち、故郷に戻るか、新たな生活を選ぶかの狭間で揺れる一家。震災を機に長年の仕事を手放し、いわき市にある災害公営住宅で暮らすなかで、家族の役割や関係性も静かに変化していく。99歳の母テツは、記憶が薄れゆく中でも生まれ故郷の大熊町への想いを離さない。寡黙な息子タケマサは母を敬いながらも、介護の多くを妻シゲコに委ねている。役割を担い続けてきたシゲコは、家族の中で当然とされてきた立場や、自身の生き方を見つめ直し始める。土地を失ったあと、家族はどこへ向かうのか。役割が揺らいだとき、人は何を拠り所に生きていくのか。本作は揺らぎのなかにある一家の日常を通して、「家」とは何か、「私」とは何かを静かに問いかける。


▼山田徹(監督)コメント
東京で育った私は、家族や土地との距離を比較的自由に選び取ってきた立場から、この一家の撮影を始めました。当初、息子の姿は、母を気遣い誠実に振る舞う「一家の主人」として映っていました。しかし撮影を重ね、妻の言葉に耳を傾け、避難先での家族の日常に立ち会ううちに、その印象は少しずつ揺らいでいきました。介護の偏り、母との距離の取り方、家の中に漂う沈黙。外では穏やかに振る舞いながら、内側では役割から逃れられない姿は、地方社会に根づく家父長制や男社会のあり方とも重なって見えました。同時に、その息子自身もまた、そうした役割から自由になれない自分に戸惑い、葛藤している存在として立ち現れてきました。震災によって土地や制度が崩れたあと、人はどこへ行けばよいのか。自由は、どこまで祝福で、どこから不安に変わるのか。撮る側である私自身もまた、震災後を生きる一人として、その問いを引き受ける三年間でもありました。
映画『三角屋の交差点で』は、2026年4月4日(土)より全国順次公開。

2011年の東日本大震災と福島第一原発事故から7年。浪江町からの避難を余儀なくされた一家は、故郷に戻るか、新たな生活を選ぶかの狭間で揺れていた。震災を機に長年の仕事を手放し、いわき市にある災害公営住宅で暮らすなかで、家族の役割や関係性も静かに変化していく。
99歳の母テツは、記憶が薄れゆく中でも生まれ故郷の大熊町への想いを離さない。寡黙な息子タケマサは母を敬いながらも、介護の多くを妻シゲコに委ねている。役割を担い続けてきたシゲコは、家族の中で当然とされてきた立場や、自身の生き方を見つめ直し始める。
土地を失ったあと、家族はどこへ向かうのか。役割が揺らいだとき、人は何を拠り所に生きていくのか。揺らぎのなかにある一家の日常を通して、「家」とは何か、「私」とは何かを静かに問いかける。
監督・撮影:山田徹
配給:インプレオ
© Toru Yamada / IMPLEO Inc.
2026年4月4日(土) ポレポレ東中野ほか全国順次公開
公式サイト sankakuya-film.jp