Jul 28, 2025 news

“さよなら”そして“ありがとう”「丸の内TOEI」ついに閉館 グランドフィナーレに吉永小百合がサプライズ登壇 劇場の最後を見送る 「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクト

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1960年9月20日に開業した映画館「丸の内TOEI」が、2025年7月27日(日)閉館の日を迎えた。東映最後の直営館であるとともに、日本最後のロードサイドシアターとしても愛され続けてきた本劇場は、自社作品の興行やイベントにとどまらず、銀座地区、延いては映画業界全体の盛り上げにも寄与した。

丸の内TOEI①の最終上映作品となった『動乱 第1部 海峡を渡る愛/第2部 雪降り止まず』の上映前には、東映株式会社の第7代社長・吉村文雄が登壇し挨拶、さらに、数々の東映作品に出演してきた俳優・吉永小百合が駆けつけ、思い出深い劇場の最後を見送った。

東映が、丸の内TOEI閉館に向けた関連事業について社内各部署を横断したメンバーによる“全社プロジェクト”として実施した「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトでは、2025年5月9日(金)~7月27日(日)の80日間にわたり100作品以上の傑作特集上映や、東映にゆかりあるレジェンド俳優が登壇する舞台挨拶などさまざまなイベントが行われてきた。

1階席と2階席合わせ511席を構える丸の内TOEI①の最終上映作品は『動乱 第1部 海峡を渡る愛/第2部 雪降り止まず』。上映前に、東映株式会社代表取締役社長・吉村文雄が登壇して観客とクラウドファンディングに挨拶と感謝の言葉を述べ、さらに、東映映画にも数多く出演しゆかりの深い吉永小百合が駆けつけて、まさかのサプライズに客席からはどよめきが起こった。

1980年の『動乱』以来、昭和・平成・令和と三つの時代にわたり活躍を続け、東映映画の発展にも多大なる功績をもたらせてきた吉永は「皆様、今日は丸の内TOEIの最後の日にこんなにたくさんいらしていただきまして本当にありがとうございます。お世話になったこの劇場で、この劇場のいろいろなセクションで働かれた方々に心からお礼を申し上げます。そして、このような形でご挨拶できることを嬉しく思います。私は恵まれております。少しの時間ではありますが、皆さんと映画のことをお話しできればと思って参りました」と挨拶し「私が初めてここでご挨拶したのは、1980年1月15日。この『動乱』の初日でした」と、45年前の思い出を話し始める。

吉永は当時を懐かしむように「私は、この『動乱』という映画で、映画づくりのすばらしさを心から感じました。1979年の冬からの1年間の撮影は、本当に素晴らしかった。スタッフの方たちも一生懸命で、高倉(健)さんとのラストシーンを撮り終えたとき、真夜中ではありましたが、スタッフの方や高倉さんと皆さんで食事をして、健闘を称えあいました。もう一度、映画俳優として頑張ってみようと思えた、大切な大切な作品です」と振り返った。

さらに、『いのちの停車場』の公開時は、コロナ禍で東京での映画の上映ができなくりつらかったと話す吉永。「(そのときは)本当に悔しかったです。その後状況が落ち着いて、(これまで)約20本もの映画のご挨拶をここ丸の内TOEIで行わせていただいたことを覚えています。窓口で切符を買って、後ろの方に座って皆様がどのような反応をしてくださるのか、笑ってくださるかしら、それともしんみりしてくださるかしら、と思いながらこの劇場で観たことは、忘れられません。素敵な劇場でしたし、なくなってしまうことはつらいです」と、丸の内TOEIの閉館を惜しんだ。

最後に吉永から「今日はこの空の上で、高倉さんも、森谷司郎監督も、岡田裕介プロデューサーも見守ってくださっていると思います。映画館で映画を見るすばらしさを私は忘れたくないですし、皆様にも、この劇場ではないですが、また映画館に足をお運びいただければと思っております」と挨拶があり、観客からは大きな拍手が起こった。