チェコのアニメーション&映画作家ヤン・シュヴァンクマイエルが「最後の長編劇映画」と宣言して2018年に完成させた『蟲』。この度、本作とあわせて同時上映される、ドキュメンタリー『錬金炉アタノール』、記録映画『クンストカメラ』の2本の本国オリジナル予告映像が公開された。
1988年の『アリス』以降6本の長編映画を発表してきたチェコのシュルレアリストにして、アニメーション&映画作家、現在90歳のヤン・シュヴァンクマイエルが「最後の長編劇映画」と宣言して完成させた『蟲』。チェコの国民的作家であるチャペック兄弟の有名な戯曲『虫の生活』の稽古をするアマチュア劇団に巻き起こる惨劇を描いた本作は、シュヴァンクマイエルのシュルレアリストとしてのアプローチが極まった集大成的な一作。
同時上映されるのは、『蟲』で編集を務めたヤン・ダニヘルと、第2キャメラマンを務めたアダム・オリハの両監督によるドキュメンタリー『錬金炉アタノール』。『蟲』の制作中にヤン・シュヴァンクマイエルが自身の映画制作会社アタノールの創造的なプロセスを記録してほしいと自ら発案し、始動した。
もう1本の同時上映作品『クンストカメラ』は、シュヴァンクマイエルが世界中から集めた絵画や彫像、動物の剥製や貝殻、自身や妻の作ったオブジェなど、一般の価値基準とは無縁の不思議なコレクションがヴィヴァルディの「四季」に乗って、ナレーションもなしに2時間、延々と映し出される記録映画。シンプルに撮影されたもののように見えて、編集、床やドアの軋むノイズ、突然の生活感のあるカットなど、随所でシュヴァンクマイエルらしさを強烈に感じさせる。


また、シアター・イメージフォーラムでは、3作品の公開を記念して、シュヴァンクマイエルの過去作4本『アリス』『ファウスト』『オテサーネク』『サヴァイヴィング ライフ』も特別上映される。
映画『蟲』は、2025年8月9日(土)より全国順次公開。(同時上映『錬金炉アタノール』『クンストカメラ』)

チャペック兄弟の有名な戯曲『虫の生活』の第2幕「捕食生物たち」に取り組む、小さな町のアマチュア劇団。遅刻や欠席するメンバーたちのやる気の無さに、コオロギ役兼任の演出家は怒りが収まらない。そしてやはりコオロギ役を務める彼の妻ルージェナはハチ役の男と明らかに不倫中。不穏な空気でリハーサルが進むなか、やがて劇の展開と役者たちの行動が交錯し、ついに舞台に惨劇が訪れる。
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル
提供・配給:ザジフィルムズ、クープ
© Athanor Ltd.
同時上映
『錬金炉アタノール』
(監督:ヤン・ダニヘル、アダム・オリハ 出演:ヤン・シュヴァンクマイエル)
『クンストカメラ』
2025年8月9日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
公式サイト zaziefilms.com/insect/