Jul 07, 2025 news

樋口真嗣「映画館は記憶を作り出す場所」『新幹線大爆破』公開50周年トークイベント実施 「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクト

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1960年9月20日に開業した映画館「丸の内TOEI」が、東映株式会社本社の入る東映会館の再開発に伴い、2025年7月27日(日)に閉館する。東映最後の直営館である丸の内TOEI閉館に向けた「さよなら 丸の内TOEI」プロジェクトにおいて、この度、『新幹線大爆破』の劇場公開からちょうど50年となることを記念した特別上映イベントが開催された。

『新幹線大爆破』公開50周年記念日特別上映イベントに登壇したのは、Netflix映画『新幹線大爆破』(2025)の監督を務めた樋口真嗣と同作出演者の一人でもあるフリーアナウンサーの笠井信輔。記念日にふさわしいノンストップトークが繰り広げられた。

当日は、本編上映開始前に、樋口と笠井信輔が前説を実施。樋口は、公開当時に宣伝のために制作された『新幹線大爆破』の“のぼり”を手に登壇し、出だしから“『新幹線大爆破』愛”をアピール。

上映終了後、満席の客席から再度拍手で迎えられた2人は、イベント開催当日のちょうど50年前、1975年7月5日に本作が公開したことに触れてトーク。樋口は「小学4年生だったが、50年前の今日、初日に学校をサボって小遣いを握りしめて行きました。ランドセルを隠して、もぎりの前でこう‥‥」と、身振りを交えながら当時のスリリングな状況を再現。続けて「いざ映画を観たら高倉健さんも山本圭さんも犯人役で、悪いことをした人たちが劇中で亡くなっていく。学校をサボった自分に置き換えて怖くなった」と当時を振り返って観客を笑わせながら、公開当時小学4年生だった自分が、高倉健さんの当時の年齢に追いつき、追い越してしまったことが衝撃だと話した。

さらに樋口は、作品のリアリティを支えた特撮技術についても熱い想いを展開。「ミニチュアの出来が本当に良い!」「浜松駅前のシーンは、ミニチュアと写真の切り抜きを組み合わせて作られているんです」と驚くべき創意工夫で数々の名シーンが生み出されていることや、東京駅での緊迫したシーンも東映の撮影所内に作られたオープンセットだったことに触れ「ある意味、この映画の全てのカットが特撮と言える」と語った。

また、本作の特殊撮影をのちにウルトラマンや怪獣のデザインを手掛ける成田亨が担当していたことにも触れ「『トラック野郎』も実は大特撮映画なんですよ」と、東映特撮のDNAが様々な作品に受け継がれていることを力説。公開当時『新幹線大爆破』の上映前に『トラック野郎』の予告がついていたそうで、樋口は「やべえ!新幹線の次はトラックだ!と興奮したのを覚えています」と観客の笑いを誘った。

そして話題は、樋口が監督を務め、今年Netflixにて配信が開始された同名作品にも及ぶ。樋口は「Netflix版を観た人には、ぜひこの映画(東映版)を観てほしいという思いがありました。実際にNetflix版でも、東映版で宇津井健さんが演じた倉持運転指令長が双眼鏡を覗くシーンや、商社マンが錯乱するシーンをどうしてもやりたかったんですよね」「公開当時東映版は、鉄道ファンの間で否定的な声も多かったが、自分の好きな映画をずっと事あるごとに伝え続けて、今回のNetflix版につながったと思う」とさらなる“『新幹線大爆破』愛”を語った。

Netflix版のクライマックスシーン撮影前には、樋口は主演の草彅剛と2時間以上にわたって話し合ったそうで「人を殺すか殺さないか、という話に対してどれだけリアリティを持てるか。自分の死生観はノストラダムスの大予言から来ている、なんて話までしました」と振り返る。その熱量が草彅に伝わり、緊迫のシーンは一発OKで撮り終えたという。

最後に樋口は、閉館する丸の内TOEIについて「映画館は記憶を作り出す場所。この映画館には、他にはない味があったと思います。それも含めて、ここで観られた楽しみ。この楽しい思い出を持って帰って、いつまでも記憶の中でこの映画館を可愛がっていただけたら。僕も、皆さんと気持ちは一緒です」とコメントした。

「さよなら 丸の内TOEI」は、2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中。

作品情報
「さよなら 丸の内TOEI」

往年の名作から最新作まで80タイトル以上を特集上映。そのほか、各種関連イベントが予定されている。

上映劇場:丸の内TOEI

提供:東映株式会社

2025年5月9日(金)から7月27日(日)まで開催中

公式サイト marunouchi-toei-sayonara0727