スイス映画界の巨匠アラン・タネールの幻の傑作『光年のかなた』と『白い町で』が4Kレストアかされ、2週間限定上映される。この度、本作の予告映像、ポスタービジュアルが公開された。

ダニエル・シュミット、フレディ・M・ムーラーと並びスイス映画界を代表する映画作家アラン・タネール。1960年代末から70年代にかけて、多言語が交錯し多様な文化を有するスイスに「ヌーヴォー・シネマ・スイス」と呼ばれる新たな映画の潮流をもたらし、ヨーロッパをはじめ世界の映画史の変革をもたらした。
ゴダールやトリュフォーなど仏ヌーヴェル・ヴァーグ作家と同世代のタネールは、ロンドンで「ブリティッシュ・ニューウェーブ」、そしてパリで「ヌーヴェル・ヴァーグ」など新時代の映画運動に強烈な刺激を受け、映画製作を開始。初長編作『どうなってもシャルル』で世界的な注目を集める。反体制的な視点を盛り込みながら、現代を生きる人の心の空虚さや精神の揺らぎといった個の内面を表出させる彼の作品は、世界中で共感を持って受け入れられ、後に続くスイスの作家たちの先鞭となった。




1981年、カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した『光年のかなた』はタネールの代表作となり、日本では1985年に「アラン・タネール映画祭」が開催され、評論家の蓮實重彦、梅本洋一らの手によって積極的に紹介された。『白い町で』はシネセゾン配給により1986年に全国劇場公開され、ミニシアター文化の草創期を担う作家として大きな人気を博した。




映画『光年のかなた 4Kレストア』『白い町で 4Kレストア』は、2025年7月19日(土)より2週間限定上映。

アイルランドの田舎を舞台に、青年ジョナスと大空を夢見る風変わりな老人の交流をファンタジックに描く。
監督:アラン・タネール
出演:トレヴァー・ハワード、ミック・フォード
©All rights reserved to The French Connection, 2025
配給:アート・アンサンブル
2025年7月19日(土) 渋谷ユーロスペースにて2週間限定上映

晩夏。陽の光を反射させ白く輝く迷路のような町をあてどなく放浪する一人の男。「自由とは何か?」。自己に深く潜り込み、日常と時の流れから離脱しようとする男の旅路を、柔らかな光線で詩情豊かに綴った紀行エッセイ。
監督:アラン・タネール
出演:ブルーノ・ガンツ、テレーザ・マドルーガ
© Filmograph – Alain Tanner. Collection Cinémathèque suisse
配給:アート・アンサンブル
2025年7月19日(土) 渋谷ユーロスペースにて2週間限定上映