香港出身のアラン・ラウ監督が2019年に起きた香港の民主化を要求する大規模な抗議活動を命懸けで撮影し、1000時間以上に及ぶ映像から制作したドキュメンタリー映画、『灰となっても』。この度、本作の予告映像が公開された。
2019年の香港、逃亡犯条例改正案反対のデモを発端にして、民主化を求める抗議運動は猛烈な勢いで広がった。デモの参加者たちは香港の人口の3割を占める約200万人に膨れ上がり、市民と警察との衝突は日を追うごとに激していく。本作には、香港の人々が否応もなく分断され、罪悪感に苛まれる姿、怒号が渦巻く路上、あの時のありのままの香港が映し出されている。
本作のアラン・ラウ監督は、フリージャーナリストとしてこの抗議運動の最前線でカメラを回し続け、香港の若い世代の勇敢さと恐れを知らない心、対する香港警察当局の冷酷さと残虐性を記録した。観客は時間を遡り、壮絶な現場でカメラを回すジャーナリストたちが何を見て、何を感じていたのかを追体験する。


本作の原題『寧化飛灰(英題:Rather be Ashes than Dust)』は「塵として朽ちるよりも、灰となっても燃え尽きる方がいい」という意味を持つ。これは、人生を無為に過ごすよりも、短くとも激しく生きるという覚悟を表している。痛ましいほど若い抗議活動家たちの物語は灰となっても、消えることはない。「香港国家安全維持法」施行から2025年6月30日で5年、香港では言論に対する締めつけがさらに強まっている。本作は今では自由に発言することができない香港の人々の闘いの記録でもある。予告映像の最後の「僕たちが守らなけらば 誰が故郷を守ってくれる?」という彼らの言葉からは、切実な思いと覚悟が伝わってくる。


映画『灰となっても』は、2025年6月28日(土)より全国順次公開。

2014年の雨傘運動に続き、2019年、香港で民主化を求める抗議運動が猛烈な勢いで広がった。犯罪容疑者の中国本土引き渡しを可能にする逃亡犯条例改正案に反対するデモを発端にして、参加者たちは「逃亡犯例改正茶の完全撤国」「普通選挙の導入」など五大要求を掲げ、6月16日には、香港の人口の3割を占める約200万人(主催側発表)に到達。香港の司法の独立性が失われ、一国二制度が崩壊することに危機感が高まり、立ち上がった市民と警察との衝突は日を追うごとに激しさを増していった。
監督・撮影・編集:アラン・ラウ
配給:太秦
©rather be ashes than dust limited
2025年6月28日(土)より、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開