無人島に漂着した最新型アシスト・ロボットのロズは、キツネのチャッカリとオポッサムのピンクシッポの協力のもと、雁(ガン)のひな鳥キラリを育てるうち、心が芽生えはじめる。ロズの優しさに触れ、怪物として彼女を拒絶していた動物たちも、次第に島の“家族”として受け入れていく。いつしか島はロズにとっての“家”となっていくのだった。渡り鳥として巣立っていくキラリを見送り、動物たちと共に厳しい冬を越えた頃、回収ロボットが彼女を探しにやってくる。動物たちとの絆から引き裂かれようとするロズの運命は? そして島はどうなる? 島の存亡をかけたロズと動物たちの闘いが、いま始まろうとしていた──。
米国ベストセラー作家ピーター・ブラウンの童話「野生のロボット」に、『リロ&スティッチ』(2002)、『ヒックとドラゴン』(2010)等で監督を務めたクリス・サンダースが、いまだかつてないアニメーション技法で命を吹き込み、壮大な冒険劇に仕立て上げた。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は、『野生の島のロズ』のクリス・サンダース監督に、本作品や映画への思いなどを伺いました。
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ロボットが描きだす「母の物語」
池ノ辺 はじめまして。映画の予告編を作っている、池ノ辺です。
サンダース そうなんですね。実は、僕は予告編が大好きなんです。朝、仕事を始める前にいろんな予告編を観るんですよ。ちょうど良い刺激になるんです。
池ノ辺 それは面白い(笑)。今度私もやってみます。さて、『野生の島のロズ』、素晴らしい作品でした。
サンダース ありがとうございます。
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池ノ辺 試写で拝見した時、私ももちろん泣いてしまったんですが、隣の席の50歳くらいの男性は、笑って泣いて、最後は嗚咽を漏らして、号泣していました。
サンダース それって僕のことじゃないですか?(笑) 僕自身がこの作品をやろうと思った理由の一つに、これが母の物語であるということがあります。この物語の核心の部分に、母とは何か、母であるということはどういうことか、そうしたことが丁寧に描かれていて、これまでそうしたことを中心に据えた作品に携わってこなかったので、ぜひやりたいと思ったんです。自分とお母さんとの関係があったり、自分がお母さんとして経験されていることもあるでしょう。実は制作段階の割と初期にビデオコンテのような形で簡単な試写を行ったのですが、その時に大人の男性が結構涙していたんです。どちらかといえば女性の方が感情移入しやすいのかと思ったのですが、大人の男性の琴線に触れ、涙してくれるというのはちょっと嬉しかったですね。
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