Feb 04, 2025 interview

いとうまい子インタビュー 映画で描かれているような日が来ればいいのに‥‥声優初挑戦の『野生の島のロズ』

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『シュレック』などのドリーム・ワークスアニメーション30周年記念作品となる『野生の島のロズ』。現在、全世界43カ国で初登場1位を獲得したアニメーションの主人公は最新型アシスト・ロボット。野生の島に漂着し、ロズと呼ばれるこのロボットは、ひょんなことから雁の子を育てることに。初めての子育てを経験し、純粋な行動から動物たちと心を通わせていきます。そんなロズの周囲には様々な思いを抱えた動物たちが存在します。今回は、本作で沢山の子どもを育てるオポッサムの母親【ピンクシッポ】の声を担当し、ご自身もロボット工学を学びロボットを開発した、いとうまい子さんにお話を伺います。

――初めて声優に挑戦されたと知って驚きでした。

お話を頂いた時は、声優をやったことがなかったので“出来るかな?”と一瞬不安な気持ちになりました。でも“やってみたい!”という気持ちもあったので、そのせめぎ合いでしたね(笑)。

――アフレコで一番難しかったことは何ですか。

難しかったのは、全編通して聞いてみると、自分が思っていたテンションじゃなかったことです。自分の中では“このぐらいのテンションでいいはず”と思っていたのですが、全然違ったんです。上手くいかないことの繰り返しでした。特に最後の「ケツ上げてしっかり飛びな!」と叫んでいるところは、結構マックスで叫んでいます(笑)。

――声を担当されている【ピンクシッポ】は動物のオポッサムですが、どんなイメージを作り上げていかれたのですか。

【ピンクシッポ】のイメージって肝っ玉かあさんでチャキチャキしているような感じですよね。私が役をもらう時って、見た目からか、フンワリしているような役が多いんです。そういう意味では、自分とは全然違う感じを作りたいと思っていました。ただ、私は役を作ってしまうと完全に役になりきってしまうので、出来る限り監督の言葉を聞いて、監督さんが思うイメージで作りたいと思っていました。なので、あまり作り込まず、台詞だけは言えるようにして現場に行きました。

――ドラマなどの実写とは違う声の出し方が、きっとあるんですね。

そうですね。もっと勉強して行きたかったです。芸能生活40数年やって来て、初めてのチャンスなんですから‥‥。そんなに巡り合えるチャンスではないですから、そういう意味では声優学校に通ったりして、もう少し練習しておけば良かったのではないかと思うぐらいでした。声優さんの仕事について右も左もわからない、何もかもが分からないので(笑)。私はアニメとかを観るのが好きなので、聞きなれてはいるけれども、いざ自分が声を出してみるとあんなふうには出来ないですね。そのことがよく理解出来ました。

――どのようなアニメがお好きなのですか。

色々と観ます(笑)。それこそ、一世を風靡した「鬼滅の刃」。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は5回観に行きました。煉獄さんが‥‥本当に泣きました。テレビのアニメも結構幅広く観ます。自分がやってみて改めて、声優さんの素晴らしさを感じました。本当に難しかったです。

――この映画はゴールデングローブ賞にもノミネートされましたし、世界43カ国でNo.1ヒットを記録しています。なので、私の中で映画を観る前から期待値が高かったんです。そして、映画を観た後、その評価に納得しました。いとうさんは、この映画のどこが人々を惹きつけているのだと思いますか。

「自然の中で生きる」というのは普通のことならありえますが、そこにテクノロジーが入り込んできて、映画で描かれているようにあんなふうに一致団結出来る、絆を繋いでいけるということを普通は想像することが難しいですよね。つまり、ロボットはロボットとして別物、生物とは別物として考えられがちです。それが一体感を持って最後まで乗り越えていくというところが、観る人の気持ちを惹きつけているのではないかと思います。