年末・年始に楽しんでもらいたい劇場公開作品、動画配信サービスで観られるおすすめ作品をご紹介。
今回取り上げるのは、世界中で人気を博した漫画原作を実写化ドラマシリーズ、王道のディズニーアニメーション、見るだけで心も温まる映画の3本。スカッとするか、星に願いを込めるか、映像の美味しさを堪能するか。さて、あなたはどれがお好みですか?
01. 編集部がオススメする2023年末配信オリジナルドラマ
「幽☆遊☆白書」( NETFLIX ) ( 配信中 )
全世界第2位スタート! クオリティの高いVFXで魅せる2.5次元表現
12月14日から全世界配信が開始された「幽☆遊☆白書」。大人気漫画「HUNTER × HUNTER」の作者 冨樫義博によって描かれた、1990年代の週刊少年ジャンプ黄金期に連載されていた人気作の実写化ドラマ。テンポの良い展開と迫力あるアクションシーン、クオリティの高いVFX、この3つをおさえた本作は、原作漫画を知らなくても楽しめるアクション作品となっている。
原作ファンは、世界観やキャラクターなどの描き方が気になるだろう。視聴したファンの間でも賛否両論あるが、製作陣は原作のエッセンスをうまく抽出して、少しダークさをまとったアクション作として仕立てあげた。もちろん、原作からの改変部分もあるし、バッサリとカットしたエピソードなども多々あるが、その分目指した方向性が明確になっており、シリーズ全体のバランスが取れている。
結果的に、配信開始早々Netflix週間グローバルTOP10 (非英語シリーズ) で初登場1位を獲得。全言語シリーズでも全世界2位を獲得し世界的大ヒットスタートを切った。主役の浦飯幽助を演じる北村匠海をはじめ、実力のある役者たちが、魅力的なキャラクターを演じている。原作ファンでない人にとっては、キャラクターの見た目など入りにくいと思う人もいるだろうが、2.5次元的表現でうまく表現されているし、Netflixオリジナルシリーズとしては短めの全5話とコンパクトにまとまっているので、年末年始に楽しむべき一作としておすすめできる1本だ。
監督:月川翔
原作:冨樫義博「幽☆遊☆白書」(ジャンプ・コミックス刊)
出演:北村匠海、志尊淳、本郷奏多、上杉柊平、白石聖、 古川琴音、見上愛、清水尋也、町田啓太、梶芽衣子、滝藤賢一、稲垣吾郎、綾野剛
Netflixにて独占配信中
公式サイト YUYU
02. 編集部が選ぶ2023年末オススメ劇場公開映画
『ウィッシュ』( 公開中 )
ミュージカルアニメで魅せる諦めてはいけない願い
ディズニー100周年記念作品は「願い」をテーマにしたミュージカルアニメーション。
主人公アーシャの願いは、100歳を迎えた祖父のささやかな願いを叶えること。しかし彼女はふとしたことから、ロサス王国を治めるマグニフィコ王が、人々の願いを閉じ込め、独裁を築いていたことを知る。一度、王に差し出された”願い”は本人に戻ることもなく、やがて本人は夢見ることに疲れ、その願いを忘れてしまう。
本作で注目したいのはヒロイン、アーシャが歌う「This Wish」。秘密を知った彼女はマグニフィコ王から追放されてしまうが、亡くなった父からの教えを思い出しこの曲を歌いながら星に祈ると、願いを叶える”スター”がやってくる。そして彼女はみんなの願い、祖父の願いを守るため、マグニフィコ王と対峙することになる。
アーシャを演じるアリアナ・デボーズの透明感と力強さを持ち合わせた歌声が素晴らしく、群青の空にきらめく星々の中でアーシャが歌い踊るシーンは圧巻。映画館で観ると、まるで星空に包まれているような感覚でこの曲を楽しむことができる。
また、「This Wish」は、このシーンではいわば「星に願いを」だが、終盤のあるシーンではまったく違う役割を果たす。この曲が、アーシャに寄り添い、彼女を奮い立たせていく。
そして、アーシャの”7人の”友人たち「ティーンズ」をはじめ、本作にはこれまでのディズニーアニメーションへのオマージュが散りばめられている。多くの人々に夢と魔法を与え続けてきたディズニーアニメーションらしい「あきらめない」物語が、これからも続いてほしいと願う。
監督:クリス・バック、ファウン・ヴィーラスンソーン
声の出演:アリアナ・デボーズ
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
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公開中
公式サイト wish
03. 編集部が選ぶ2023年末オススメ劇場公開映画
『ポトフ 美⾷家と料理⼈』( 公開中 )
観るだけで”美味しい”を味わう
2023年、ベトナム出身、フランス育ちのトラン・アン・ユン監督が『青いパパイヤの香り』でのカメラ・ドール(新人賞)受賞から30年の時を経て、本作でカンヌ国際映画祭の監督賞受賞を果たした。
幕開けから、これでもかと畳み掛けるかのように登場する美味しそうな料理の数々や、ジュリエット・ビノシュとブノワ・マジメルの共演(なんと、プライベートでは元パートナー)、彼らの演技や佇まいは、もちろんこの作品の素晴らしい魅力ではあるけれど、本作の素晴らしさは映像の美しさにあると思う。
冒頭、ウージェニー(ジュリエット・ビノシュ)が畑で野菜をとるシーンの、ひんやりとした空気感が伝わる青みのある映像。対して、食事のシーンの温かみのある色使い。真夜中にこっそりと話をするウージェニーとドダン(ブノワ・マジメル)は、濃紺の暗闇に包まれる。夕方のシーンでは、かげってゆく陽の光が窓からこぼれるなど、すべてのシーンが美しい。
また、本作は、過剰な音楽をのせず、食材を切る、焼くなどの調理する音をしっかりと聞かせており、五感を使って、まさに‟味わう“楽しみ方もできる。
トラン・アン・ユンの作風は変化しているようにも見えるが、画づくりや演出の誠実さは変わらない。どちらかと言えば寡作な彼の新作が、なんとも滋味深く、そしてその信頼を裏切らない素晴らしい作品であることが何よりも嬉しい。
監督:トラン・アン・ユン
料理監修:ピエール・ガニェール
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
配給:ギャガ
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公開中
公式サイト pot-au-feu