Dec 30, 2023 column

編集部オススメ 年末年始に楽しめる劇場映画&配信作品 Part 01

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年末・年始に楽しんでもらいたい劇場公開作品、動画配信サービスで観られるおすすめ作品をご紹介。
今回取り上げるのは、劇場アニメーション、配信オリジナルのドラマシリーズと映画の3本。想像力の大切さを知るアニメ、ハラハラドキドキの連続の刑事ドラマ、巨匠たちが制作プロデュースする偉人の伝記もの、これら全てに映像作品の醍醐味を感じることができる。さて、あなたはどれがお好みですか?

01. 編集部が選ぶ2023年末オススメ劇場公開映画

『屋根裏のラジャー』( 公開中 )
私たちは見えなくなったのか、見てないだけなのか

子どもが遊ぶ姿を見ていると、ハッと驚かされることがある。その思いがけない発想は、大人が持ち合わせてしまった先入観を軽々と飛び越えていくように思えてしまう。本作は、そんな子どもの頭の中をのぞいているかのような躍動感に溢れたシーンで始まる。

『屋根裏のラジャー』は、スタジオポノックがイギリスの児童小説「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション最新作。少女・アマンダが生み出した想像の友だち(イマジナリフレンド)・ラジャーを主人公に、現実と想像が交錯する世界で起こる冒険を描くファンタジーだ。このように書くと、よくある子ども向けの映画、と思われるかもしれない。でも、ぜひ大人にも観てほしい。

まず、お伝えしたいのは、日本アニメの新たな映像表現。手描きによるキャラクターにはフランスのデジタル技術によって、質感と陰影が与えられ、美しい背景美術と相まって物語にさらなる奥行きを生み出している。

その映像表現は、わたしたちに想像力の可能性を突きつける。本編中、ラジャーを追い詰める悪役が言う。「想像は現実に勝てない」と。それならば、想像の友達を忘れ去り、見えなくなった大人の私たちに何が響くのだろうか。

考えてみれば「見えなくなった」のは、ただ私たちが「見ていない」だけかもしれない。その想像力は過去のものではなく、今も私たちのそばにあって、私たちに”気づき”をもたらそうとしているのではないだろうか。

本作は、現実の厳しさを突きつけてなお、想像が持つ力とその可能性を、大人も信じたい、信じる必要があると思わせてくれる。

映画『屋根裏のラジャー』

監督:百瀬義行

原作:A.F.ハロルド 「The Imaginary」(「ぼくが消えないうちに」こだまともこ訳・ポプラ社刊)

声の出演:寺田心、鈴木梨央、安藤サクラ、仲里依紗、杉咲花、山田孝之、高畑淳子、寺尾聰、イッセー尾形

© 2023 Ponoc

公式サイト Rudger

02. 編集部がオススメする2023年末配信オリジナルドラマ

「ボッシュ:受け継がれるもの」シーズン2 ( Amazon Prime Video ) ( 配信中 )
「BOSCH/ボッシュ」のユニバース化が止まらない!!

「ボッシュ: 受け継がれるもの」シーズン2は、冒頭からアクセルベタ踏みのフルスロットル状態。それもそのはず、前シーズンのラストでボッシュの娘・マディが誘拐されたままクリフハンガーとなっており、誘拐犯とボッシュの激闘は継続中なのだから。

普段はタフでクールなボッシュも、唯一の弱点である愛娘をさらわれては冷静ではいられない。エドガー刑事や旧知の弁護士・チャンドラーの力も借りて懸命の捜査を続けるが、マディの命のリミットは刻一刻と迫る!! 果たしてボッシュは娘を取り戻し、犯人に鉄槌を下せるのか?

他にも、汚職刑事との苛烈な戦い、ボッシュとチャンドラーが過去に犯した違法行為に伸びる捜査の手など、スリリングな要素満載。そしてラストに待つのは驚愕の展開が‥‥。

『BOSCH/ボッシュ』の続編といえるスピンオフ、本シリーズ『ボッシュ: 受け継がれるもの』はシーズン3への更新が決定。さらに新たなスピンオフ2本(ボッシュの元相棒・エドガー刑事のものと、原作の人気キャラ・レニーのもの)が準備中と、いままさに“ユニバース化”が進行中だ。

『BOSCH/ボッシュ』の原作者、マイクル・コナリーのもうひとつの代表作といえば『リンカーン弁護士』。そちらはNetflixでドラマ版が配信中だが、実は両作の主人公、ボッシュとミッキーは異母兄弟という設定で、原作では共演も度々果たしている。とすれば、配信プラットフォームの枠を超えた、奇跡のクロスオーバー!なんてことも‥‥。両作のファンとしては、そんな夢想もついしてしまう。

ドラマ「ボッシュ:受け継がれるもの」シーズン2 (Amazon Prime Video)

出演:タイタス・ウェリヴァー、ミミ・ロジャース、マディソン・リンツほか

©Amazon Studios

Amazon Prime Video にて全世界同時配信中

03. 編集部がオススメする2023年末配信オリジナル映画 

マエストロ:その音楽と愛と』( NETFLIX ) ( 配信中 )
偉大なる指揮者とその妻が奏でる愛憎物語

あなたが”マエストロ”と聞いて、思い浮かぶのは誰か?
クラシック音楽ファンなら、本作の主人公、”マエストロ”レナード・バーンスタインを思い浮かべることだろう。

本作でレナード役、そして監督・脚本も務めるのは、ブラッドリー・クーパー。その監督手腕は『アリー/スター誕生』で証明済みだが、本作では、俳優としての彼にも注目してほしい。レナードが乗り移ったかのような熱演、なかでも練習に6年かけたといわれる指揮シーンは圧巻だ。

そしてこの映画のもうひとりの主人公ともいえるのが、レナードの妻・フェリシア。
彼女は芸術家気質で奔放なレナードをある時は焚き付け、ある時は励まし、そしてある時は激しく叱責もする。
そして何より、彼を深く愛している。レナードが音楽史に偉大な足跡を残せたのも、まさに彼女あってこそなのだと感じた。

演じるのは『プロミシング・ヤング・ウーマン』『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』など話題作への出演が相次ぐ、キャリー・マリガン。彼女の観る者を引き込む説得力ある演技は本作でも健在で、フェリシア側のストーリーがもっと見たかったなと思ってしまったほど。

この映画は”マエストロ”と呼ばれた男の伝記であると同時に、1人の女性の半生記でもあり、愛と憎を行ったり来たりする(ある意味)普通の夫婦の物語なのだ。

製作にマーティン・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグといった映画界の”マエストロ”たちが名を連ねる本作は、ゴールデン・グローブ賞でも主要4部門でノミネート。賞レース的な意味からも必見の1本と言える。

映画『マエストロ:その音楽と愛と

監督:ブラッドリー・クーパー

プロデューサー:マーティン・スコセッシ、スティーヴン・スピルバーグ

出演:ブラッドリー・クーパー、キャリー・マリガン、マット・ボマー、マヤ・ホーク

2023年12月8日(金) 一部劇場にて公開

公式サイト maestro

Netflixにて独占配信中