Oct 14, 2021 news

映画『DUNE / デューン 砂の惑星』撮影方法、巨大セット、視覚効果まで 砂の中で試行錯誤したドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とスタッフが語る舞台裏を独占公開!

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2021年最大の超大作である映画『DUNE / デューン 砂の惑星』がついに明日より日本公開される。本作は“未来が視える”能力を持つ青年、ポール・アトレイデスの物語。皇帝の命でその惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる、過酷な“砂の惑星デューン”へ移住したことを機にアトレイデス家と宇宙支配を狙う宿敵ハルコンネン家の壮絶な戦いが勃発。父を殺され、復讐そして全宇宙の平和のために、巨大なサンドワームが襲い来るその星で“命を狙われるひとりの青年”ポールが立ち上がる。

これまで映像化が極めて困難だといわれた原作の「デューン / 砂の惑星」の映像化にあたり、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督はできるだけ視覚効果に頼らない撮影方法を模索し、自然を味方につけ、その仕組みを利用して作りあげることを重視。多くのシーンで自然がつくる光や影の中、実際にカメラで撮影することに挑戦し、厳しい環境である砂漠でのリアリティーを極めた撮影はどのように行われていたのか、砂漠以外のセットのこだわりやサンドワームの秘密などもヴィルヌーヴ監督とスタッフが語り、舞台裏を紐解く。


DUNEの裏側①
実際のロケーションとセットでの撮影が生み出したリアルな世界観

本作は壮大なスケールの世界観の中で起こる、戦争や、陰謀、権力争いといったものを描く一方で、人間のもつ無限の可能性をも映し出す作品。遠い未来の話でありながら、どこか現実にも通ずるテーマを持つ本作の世界観を描くにあたり、『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』、『ローガン』など数々のヒット作に携わった製作のジョー・カラッチョロ・Jr.は「ドゥニは最初からできるだけ視覚効果に頼らない撮影方法を模索していた。視覚効果も使っているけど、ドゥニはできるだけ多くのシーンを自然がつくる光や影のなか、実際の砂やほこり、ひいては地球と交流しながら、カメラで撮影することに取り組んでいた」とできるだけ、リアルなロケーションで撮影することにこだわっていたことを明かす。

ロケーション撮影は、ハンガリー、ヨルダン、アブダビ、ノルウェーで行われ、可能な限りCG撮影を使用しないという、ヴィルヌーヴ監督のこだわりもあり、ハンガリーのブダペストの防音スタジオにはヴィルヌーヴ監督が理想とする巨大なセットを作りあげることになった。「まるで往年のハリウッドの光景みたいだった」と製作のメアリー・ペアレントはコメントしており、惑星カラダンを含む屋内セットや広大な図書館、アトレイデス家の邸宅、ハルコンネン男爵が入っているサウナも実際につくられ、壮大な世界観の中に原作の筆跡と自然の感触を追求した。

DUNEの裏側②
ヴィルヌーヴ監督が惚れ込んだヨルダンにて、表情豊かな砂漠への果てしない挑戦

砂漠での撮影が多かった本作。過去の作品でヴィルヌーヴ監督が使ったことのあるヨルダンに対しては特に、人々と景色に特別な思いを抱いている。「25マイル(約40キロメートル)ごとにまったく異なる景色が現れることに感動した。望めばそのとおりの風景を見られるほど、砂漠の表情は多彩。初めてこの地を訪れたときに、本作のような映画をつくるとしたらここで撮ろうと思ったのを覚えている。ここの光、この地の魂には何か特別に惹きつけられるものがある。そして私たちはそれらをカメラに収められたと思う。こんな気持ちになるのは、この地だけ。ここの景色には、本作にぴったりのドラマチックな雰囲気が漂っている」とその思い入れの深さを語っている。

また、実際のロケ地にフォーカスすると、“ミリタリー・デューンズ(軍隊の砂丘)”として知られるヨルダンとイスラエルの国境地帯がある。軍事演習がおこなわれており、これまでは一般人は立ち入ることができない場所だったが、本作に初めて撮影許可が与えられた。統括ロケーションマネジャーのニック・オリバーは「誰も足を踏み入れたことがない場所だ。砂漠一帯の砂丘は風に吹かれるまま常に形を変えている。見るぶんには素晴らしい眺めだが、このせいで一筋縄ではいかない撮影をどうにかするために策を練らなくてはならなかった。風次第で突然砂丘は姿を変えてしまい、全体的な風景も変化し続けた」と撮影エピソードを語る。

この地では、壮大なアクションシーンが撮影され、どこでセットを組み立てても撮影できるように、砂を万全な状態にしておかなければならなかった。さらに、「約400名のスタッフがそこらじゅうを歩き回っているなかで、足跡をつけないために広大なエリアをテープで囲う必要があった。撮影中のスタッフのそばでは、グリーンズ・チームが彼らの足跡を消し去る作業をしてくれた。また、植物や草などを模造品の岩で隠すなどして、映り込んでほしくないものを確実に取り除いた」とも語っており、風が吹けば姿が変わる、砂漠の環境に苦戦しながらも妥協せずに撮影に挑んだ、チームの団結力と並々ならぬ努力が垣間見える。