自分とどこか共通点のあるようなお話を
手に取ることが多いのかなと思いました

──今日はいろんなシチュエーションで撮影しましたが、中元さんが一番リラックスできる読書スタイルはどんなスタイルですか?

中元私は半身浴をしながら読みます。お風呂に持ち込んで読むことが多いですね。

──お風呂の中だと、主に文庫本ですか?

中元文庫本の方が多いですけど、単行本も頑張って持ち込みます。表のカバーを取って、ちょっと重たいですけど頑張って(笑)。ただ、出るタイミングが難しいんですよね。きりがいいところまで読もうと思ってるのに、たまになかなかきりがいいところまでいかないので、気がついたら1時間30分のタイマーで入れていた暖房がプツッと切れたりして(笑)。そんなに入ってたんだ!って時間を忘れて読むことがあります。

──のぼせたりしないように気をつけてくださいね(笑)。では、中元さんの好きな本のジャンルを教えてください。

中元基本的にはフィクションものが好きです。……ん、広すぎるな(笑)。今回3冊を選んでみて思ったのは、『夜のピクニック』は私が中学生の時に読んでいいなと思った本なんですけど、登場人物が中学生で、あとの2冊は芸能界のお話だったりするので、そんなふうに等身大の自分に近いような、自分とどこか共通点のあるようなお話を手に取ることが多いのかなと思いました。

──確かにそうですね。一冊ずつ、どういうふうに出会って、どんなところが好きなのかを教えていただきたいと思います。まず『夜のピクニック』から。

中元3冊の中で一番最初に出会ったのがこの『夜のピクニック』で。私が芸能界に入る前の中学生の時に読んだものです。もともと家族に読書家が多くて、お姉ちゃんも妹も本を読むのが好きなんですけど、この本はお姉ちゃんが読んでいたものを借りたんです。学校行事の歩行会が物語になっていて、一度中学の時に読んだ時は、登場人物の家庭環境が複雑だったりとかで、ちょっと難しいなと思っていて、それで高校に入ってもう一回読んだんです。そうしたら微妙な気持ちの変化みたいなものを改めて解釈することができたんです。

──中元さんは学生生活でこういった思い出に残るような経験はありましたか?

中元この本のように24時間歩きましょうみたいなハードなものではなかったんですけど、うちの高校にも歩行会があったんですよ。だけど高校に入学する前に乃木坂に入っていたので、学校行事なんかもあまり参加できず、みんなみたいないわゆる“ザ・青春時代を過ごしました!”っていう感覚がないんですね。だから、こういうお話って、ある種憧れでもあります。

──憧れ、ですか?

中元はい。こういう恋愛みたいな経験はないですし(笑)。私がクラスに行くと、まず“アイドルだよね”っていうフィルターを一枚通して見られちゃうので、普通と言うとおかしいですけど、こういう青春ものに憧れます。

──なるほど。では『ピンクとグレー』は?

中元『ピンクとグレー』は乃木坂に入ってから読んだ本で。私が今読みたい本はこういう本なんだろうなって気付いたんです。

──それはどういうことでしょう?

中元今オリエンタルラジオさんと一緒にラジオをやってるんですけど、その時に『私は趣味がなくて、これが得意ですとか、これに今はまってますとか、あんまり面白いことがないんですよ。何が趣味なの?って言われたら、ライブDVDを見たり、音楽を聴いたり。そういうことを言ってもつまんないじゃないですか』って言ったら、中田(敦彦)さんに『ひめたんはプライベートでもアイドルでいることが、仕事のことを考えることが趣味なんだよ』っていうふうに言われてハッとしたんです。だから私はこういう芸能界のお話を好むんだ、って。

──興味深いお話ですね。実際に読んでみていかがでしたか?

中元読んでいるうちに、この作者が芸能人である加藤シゲアキさんだっていうことを忘れてましたね。芸能界って、きれいなことばっかりじゃなかったりすることも多いじゃないですか。アイドルとしてこういうことを書くのはどうなんだ?って思うところもなく、ありのままを書いていて、その言葉の一つ一つにすごくビックリしました。加藤さんは作家としてもすごい方なんだなと思いましたね。読み終わった後、『ピンクとグレー』最近読んだんだって齋藤飛鳥ちゃんに言ったら、『ちょうど読みたいと思ってたの』って言ってたので貸したんですね。そしたら、グアム行きの飛行機が片道確か3時間ぐらいなんですけど、その行きの飛行機の中で読み終わっちゃったって言ってて(笑)。

──早い! 齋藤さんは何か感想をおっしゃってました?

中元『すごく面白かった』って言ってくれました。メンバーとあんまり本の貸し借りをしないんですけど、この作品はそんなふうに繋げてもくれました。

──『ピンクとグレー』は主人公が男性でしたけど、女性アイドルのよりリアルなところが出ているのが、この『武道館』ですよね。この本はどんなきっかけで読まれたんですか?

中元ちょうど発売されたばかりの頃に朝井リョウさんがこの本についてテレビで対談していて。アイドルのお話で、武道館を目指していて、ちょうど私も一回武道館のステージに立っているから景色は知ってるなあと。それで面白そうだなと思って読んだんですけど、かなりリアルで(笑)。

──同じグループで見ているところは同じでも、メンバーそれぞれが思うことや、そこに行き着く手段は違うものなんだなということをリアルに感じました。

中元そういうことってありますね。乃木坂もグループとしての目標があって、去年までだったら例えば“紅白歌合戦に出たいね”だったり、今だったら“ミリオンいきたいね”だったり、そういう一つ大きな指標があった方がいいなと思ってるんですけど、その先にいつか乃木坂がなくなった時にこういうことをしたいなっていうものを、みんなそれぞれが持っていたらいいなと思うんです。今もモデルをやってる子もいるし、舞台に出ている子もいるし、オシャレが上手な子もいるし、最近はかずみん(高山一実)が小説を書いたりもしてますよね。そんなふうに乃木坂のグループにいる中で、こういう世界もあるんだなっていうことをみんな見つけていってほしいなって思いました。

──それぞれが歩む道を見つけてほしいということですね。この本の中でもそうですが、昔に比べると今のアイドルの方の中には、人間臭い部分やドロッとしたところを見せる人達もいますよね。

中元それこそAKB48さんとかはドキュメンタリー映像を出されていますよね。私にとってのアイドルのイメージって“手が届かないみんなの憧れ”みたいなところがあるんですけど、最近はそういうわけでもないかもしれない。葛藤している姿も見せるし、楽しいことだけじゃない。そういうところも全部ひっくるめて応援してくださるファンの皆さんがいて。きっと求められるものも変わってきてるんだろうなと思います。

──先程お話してくださいましたが、中元さんが思うアイドル像は、“手が届かない存在”なんですね。

中元私の母がビンク・レディさんが好きで。再結成された時にリリースされたDVDなんかを持っていたり、再結成ライブも一緒に行ったりしてたんです。当時のピンク・レディさんは、収録のギリギリまで点滴を打ってて、でも収録には笑顔を見せて、絶対にその裏側を見せたりしない。そういうものだと思っていたし、テレビの中でしか会えない、みたいなのが私の中のアイドルのイメージだったんです。でもきっと、現代のアイドルの形も5年先ぐらいのアイドルファンの方が見たら、『あ、当時のアイドルってこんなんだったんだ』なんて思うくらい、変化しているんじゃないかなと思うんです。

──中元さんは先のことをすごく考えていらっしゃるなと思います。

中元遠い未来はわからないんですけど、『3年後どうしてるのかな』ってよく言ってます。怖いですもん。自分がどうなってるのかとか、グループがどうなってるのかとか、アイドルがどうなっているのかとか。とはいえ、私は今アイドルをやっていることがすごく楽しいんです。大学への進学も考えたんですけど、私の場合はそれで活動が制限されるなら悔しいなって思って、行かなかったんです。それぐらいアイドルの活動しか見えていないので、だからこそ将来グループが解散した時に、私何してるんだろうって、一人になった時にポツンと思いますね。

中元日芽香さんが好きな本を
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武道館

朝井リョウ

文藝春秋

「【アイドル】という職業が背負う十字架を、一度すべて言葉にしようと思いました。すると、不思議と、今の時代そのものを書き表すような作品になりました」(著者)「アイドルって作るものでなく、楽しむものである方が良いに決まってる。なのに、著者はこうやってアイドルを生み出す側にチャレンジした。それも文学の世界で・・・・・・。なんたる野望。なんたるマニアック。なんたる妄想力」(つんく♂/音楽家、エンターテインメントプロデューサー)★【正しい選択】なんて、この世にない。結成当時から、「武道館ライブ」を合言葉に活動してきた女性アイドルグループ「NEXT YOU」。独自のスタイルで行う握手会や、売上ランキングに入るための販売戦略、一曲につき二つのパターンがある振付など、さまざまな手段で人気と知名度をあげ、一歩ずつ目標に近づいていく。しかし、注目が集まるにしたがって、望まない種類の視線も彼女たちに向けられる。「人って、人の幸せな姿を見たいのか、不幸を見たいのか、どっちなんだろう」「アイドルを応援してくれてる人って、多分、どっちもあるんだろうね」恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業・・・・・・発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取り巻く言葉たち。それらを突き詰めるうちに見えてくるものとは――。「現代のアイドル」を見つめつづけてきた著者が、満を持して放つ傑作長編!

夜のピクニック

恩田陸

新潮社

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。甲田貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭にのぞんだ。三年間、誰にも言えなかった秘密を清算するために――。学校生活の思い出や卒業後の夢など語らいつつ、親友たちと歩きながらも、貴子だけは、小さな賭けに胸を焦がしていた。本屋大賞を受賞した永遠の青春小説。

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